【薬学がわかる】細菌性・ウイルス性食中毒の発生機構について

細菌性・ウイルス性食中毒の発生機構について理解しよう

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食中毒の種類

①細菌性・ウイルス性食中毒
②自然毒食中毒
③化学物質による食中毒
④その他(アレルギー様食中毒)

 

に分けられます。

 

食中毒の発生状況

細菌性の食中毒は寒い季節には少なく、暖かくなる4月ごろから多くなり、7月から9月にかけての夏場に最高期を迎えます。

 

逆に、ウイルス性は、ノロウイルスなど11月から3月という冬場に多く発生します。

 

発生件数や患者数では、ノロウイルスやカンピロバクターが常に上位にあります。

 

細菌性食中毒の発生機構

毒素型食中毒(生体外毒素型)

食品中で増殖した菌が、生成した毒素を食品と一緒に摂取するために起こります。

 

代表的な細菌:黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌など

 

黄色ブドウ球菌食中毒

原因菌

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)

特徴

グラム陽性菌
熱に弱いが、耐塩性がある。(7.5%の塩濃度でも生育可能)

発生機構

食品中で増殖する時に産生する、耐熱性黄色ブドウ球菌エンテロトキシンが原因となる。

感染源、感染経路

ヒト、動物の皮膚、など自然界の様々なところに分布している。
特に、手指の化膿しているところが、感染源となる。(例:おにぎり、サンドウィッチなどの手作り食品)

症状

激しい嘔吐、吐気

予防対策

黄色ブドウ球菌エンテロトキシンは耐熱性のため、加熱処理だけでは予防できない。手指が化膿している人は調理に関わらないことが重要。

 

ボツリヌス食中毒

原因菌

ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)

特徴

グラム陽性桿菌(芽胞形成

発生機構

食品中で産生するボツリヌス毒素が原因となる

感染源、感染経路

発生件数はほとんどない。
嫌気性菌であるため、真空パック食品中で生存する(例:缶詰、瓶詰など)

症状

複視、眼瞼下垂などの神経症状

予防対策

熱に弱いため、加熱が有効

 

 

感染型食中毒(感染侵入型、感染毒素型)

食品と一緒に摂取した菌が腸管内で増殖する、または食品中ですでに増殖した菌を大量に摂取した場合に、その菌自体の作用や菌の発生する毒性因子によって起こります。

 

代表的な細菌:サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌など

 

腸炎ビブリオ食中毒

原因菌

腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)

特徴

グラム陰性桿菌
2~3%の食品濃度で増殖する好塩菌
耐熱性溶血毒を産生する菌が原因となる。

中毒管から検出される菌株を用いて血液寒天培地で培養した時、コロニーの周辺に溶血環を示す(神奈川現象)

所在

アジ、マグロなどの生食魚介類

感染源、感染経路

夏季の海水

症状

激しい腹痛、下痢など急性腸炎症状。
一般的には2~3日でほぼ回復する。

予防対策

淡水で死滅(溶菌)するので、魚介類を流水でよく洗浄する。

 

サルモネラ食中毒

原因菌

サルモネラ属菌
Salmonella enterica serovar Enteritidis(ゲルトネル菌)
Salmonella enterica serovar Typhimurium(ネズミチフス菌)

特徴

グラム陰性桿菌

所在

肉類の生食(牛、レバーなど)、鶏卵

感染源、感染経路

サルモネラに感染した食物を直接摂取する。
菌を保有したネズミやハエによる汚染。

症状

下痢、悪心、腹痛、発熱などの激しい胃腸症状

予防対策

ネズミやハエによる食品への感染を防ぐことが大切。
熱に比較的弱いので、加熱処理を行うことも有効。

 

カンピロバクター食中毒

原因菌

カンピロバクター・ジェジュニ / コリ

特徴

グラム陰性桿菌、らせん菌(S字状)、微好気性

所在

ウシ、ブタ、ニワトリなどの家畜、イヌ、ネコなどのペットの腸管内

感染源、感染経路

糞便で汚染された食肉

症状

下痢、腹痛、発熱

予防対策

加熱が有効

 

腸管出血性大腸菌(O157:H7)

原因菌

腸管出血性大腸菌

特徴

グラム陰性桿菌
極めて少ない量の菌であっても発症する可能性があります(50~100個程度)

発生機構

ウシなどの家畜の腸管内で菌が産生するベロトキシン(ベロ毒素)が原因となります。

感染源、感染経路

汚染された食肉

症状

激しい血便、腹痛、溶血性尿毒症症候群(HUS)

予防対策

食品が汚染されないように手洗いを徹底する

 

ウェルシュ菌食中毒

原因菌

ウェルシュ菌 Clostridium perfringens

特徴

グラム陽性桿菌で芽胞を形成する
ガス壊疽の原因菌
産生する毒素でA~Eに分類されます
食中毒を起こすのはA型菌でα毒素(ガス壊疽)と下痢を起こすエンテロトキシンを産生します。

発生機構

肉類、魚介類や学校給食のシチューなど。

感染源、感染経路

土壌中に広く分布している

症状

腹痛や水溶性の下痢
潜伏期間は約12時間程度、数日で回復する

予防対策

汚染しないように気を付ける。
加熱調理後は、速やかに摂取する。

 

毒素型・感染型

セレウス菌食中毒

原因菌

セレウス菌 Bacillus cereus

特徴

グラム陽性桿菌で芽胞を形成する

発生機構

米飯類に多いとされている

感染源、感染経路

土壌中、水中に広く分布している

症状

嘔吐を主な症状とする毒素型と、下痢を主な症状とする感染型があり、機序が異なっていると考えられています。

 

ウイルス性食中毒

ノロウイルス

特徴

ウイルス性食中毒で最も多い。冬場に発生しやすい。

発生機構

カキ(牡蠣)や二枚貝類など。

感染源、感染経路

主に経口感染
飛沫感染や空気感染が考えられる

症状

潜伏期間は1~2日。激しい嘔吐や下痢などが症状として現れる。

予防対策

85℃で1分以上の加熱
次亜塩素酸ナトリウムによる消毒

 

以上、食中毒の種類についての説明でした。

 

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確認問題

問1
ヒトの化膿巣は、黄色ブドウ球菌食中毒の主な感染源となる

 

問2
黄色ブドウ球菌による下痢や嘔吐の症状は、菌が産生するエンテロトキシンによる

 

問3
食品の加熱調理をすることが、黄色ブドウ球菌による食中毒予防に有効である

 

問4
ボツリヌス中毒は件数は少ないが、高い致命率を示す

 

問5
ボツリヌス菌による食中毒は、食品を真空包装することによって予防できる

 

問6
腸炎ビブリオによる中毒患者から検出される菌株を血液寒天培地で培養した時、コロニーの周辺に溶血環を示す現象を神奈川現象と呼んでいる

 

問7
腸炎ビブリオは主として土壌中に生息している細菌である

 

問8
腸炎ビブリオは、淡水中で溶菌しやすい

 

問9
カンピロバクター食中毒は、通常、加熱調理によっては予防できない

 

問10
腸管出血性大腸菌O157による下痢症は、食品中で産生されたベロ毒素の摂取による

 

問11
セレウス菌は、嘔吐を主徴とするタイプと、下痢を主徴とするタイプの2つの型があり、それらの発症にはいずれも毒素が関与している

 

問12
ノロウイルスによる食中毒患者の嘔吐で汚染された衣類などの消毒には、次亜塩素酸ナトリウムが有効である

 

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確認問題の答え

問1

 

問2

 

問3
✕:加熱調理では、黄色ブドウ球菌による食中毒は予防できません

 

問4

 

問5
✕:ボツリヌス菌は嫌気性菌のため、真空包装しても予防できません。

 

問6

 

問7
✕:主に海水中に生息しています

 

問8

 

問9
加熱調理によって予防できます。

 

問10
✕:腸管内で産生されたベロ毒素によります。

 

問11

 

問12

 

このページで確認しておくことのまとめ

  • それぞれの菌の特徴について(耐熱性、嫌気性など)
  • 感染経路について
  • 予防対策について
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