【薬学がわかる】第99回薬剤師国家試験過去問解説 問56 ~ 問70 病態・薬物治療

第99回薬剤師国家試験過去問解説 問56 ~ 問70 病態・薬物治療

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必須問題 【病態・薬物治療】

 

問56 鉄欠乏性貧血において、上昇する検査値はどれか。1つ選べ。
1 フェリチン
2 血清鉄
3 ヘマトクリット
4 ヘモグロビン
5 総鉄結合能

 

【解説】
鉄欠乏性貧血とは、ヘモグロビンを構成する鉄が体内から不足することによって、ヘモグロビン合成が障害されて生じる貧血です。

 

フェリチンとは、貯蔵鉄のことであり、減少します。
血清鉄(トランスフェリン結合鉄)は減少します。
ヘマトクリットは、血液中に占める血球体積の割合です。ヘモグロビン濃度が減少することでヘマトクリット値も減少します。
ヘモグロビンは減少します。
総鉄結合能とは、血中でトランスフェリンと結合できる総量です。トランスフェリンは、血中において鉄を輸送しているタンパク質です。
貧血状態では、トランスフェリンと結合している鉄をどんどん使用されており、フリーなトランスフェリンの数が増えています。よって、総鉄結合能は増加します。

 

以上より、5 総鉄結合能 が答えです。

 

 

 

 

問57弁膜症を合併しない心房細動の症例において、抗凝固療法の必要性を判断する上で、重要性が低い合併症はどれか。1つ選べ。
1 高血圧
2 心不全
3 糖尿病
4 貧血
5 脳塞の既往

 

【解説】
心房細動が起こることによって、血液循環が悪くなり、血栓などが出来やすくなります。
心房細動患者が脳塞栓症を起こす条件として、CHADS2 scoreが推奨されています。うっ血性心不全(Congestive heartfailure)、高血圧(Hypertension)、75歳以上(Age of 75 years or older)、糖尿病(Diabetesmellitus)、脳梗塞またはTIAの既往(History of Stroke of TIA)の頭文字をとったものです。
1点:うっ血性心不全、高血圧症、年齢(75歳以上)、糖尿病
2点:脳卒中既往、TIAの既往
点数をカウントしていき、これによって脳塞栓症リスクを分類していきます。
よって、貧血が重要性が低いと考えられます。

 

以上より、4 貧血 が答えです。

 

 

 

 

問58 急性前骨髄球性白血病について、正しいのはどれか。1つ選べ。
1 フィラデルフィア染色体が形成される。
2 CD20抗原が認められる。
3 転座染色体t (8:22)が認められる。
4 PML-RARα融合遺伝子が認められる。
5 BRCA1 遺伝子に変異が認められる。

 

【解説】
1 慢性骨髄性白血病の記述です。9番染色体と22番染色体の相互転座によってフィラデルフィア染色体が生じ、病気の原因となります。
2 CD20抗原は、多発性骨髄腫でみられます。
3 4 急性前骨髄球性白血病では、転座染色体t ( 15 : 17 )が認められます。この転座によって、PML-RARα融合遺伝子が形成されます。
5 BRCA1 遺伝子はがん抑制遺伝子であり、この遺伝子の変異で乳がんや卵巣がんの原因となります。

 

以上より、4 PML-RARα融合遺伝子が認められる が答えです。

 

 

 

 

問59心不全の患者に使用が禁忌である薬物はどれか。1つ選べ。
1 ボグリボース
2 グリベンクラミド
3 ナテグリニド
4 ピオグリタゾン塩酸塩
5 グリメピリド

 

【解説】
ピオグリタゾン塩酸塩はTNF-αの減少作用があり、2型糖尿病の治療薬として用いられます。しかし、副作用として水分貯留を示す傾向があり、心不全患者には禁忌であるため注意が必要です。

 

以上より、4 ピオグリタゾン塩酸塩 が答えです。

 

 

 

 

問60 統合失調症の陰性症状として正しいのはどれか。1つ選べ。
1 妄想
2 幻覚
3 失見当識
4 食欲亢進
5 意欲欠如

 

【解説】
統合失調症には、ドパミンの過剰放出による陽性症状と、セロトニンの過剰放出による陰性症状があります。
陽性症状の場合は、本人が体験を語ることで明らかとなる症状(幻聴や妄想などの思考障害)です。周りからみているだけでは判断できません。
陰性症状の場合は、周りからみてもわかる客観的な症状(意欲の欠損や無関心などの感情の平板化)が現れます。

 

以上より、5 意欲欠如 が答えです。

 

 

 

 

問61 不眠症の適応を有する薬物のうち、メラトニン受容体を介して効果を発現するのはどれか。1つ選べ。
1 ゾルピデム酒石酸塩
2 ゾピクロン
3 ラメルテオン
4 リルマザホン塩酸塩水和物
5 トリアゾラム

 

【解説】
ゾルピデム、ゾピクロンは、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬に分類されます。ゾピクロンは非選択的にω1/ω2ベンゾジアゼピン受容体に、ゾルピデムは選択的にω1ベンゾジアゼピン受容体に作用します。
ω1受容体を刺激すると、鎮静、催眠の作用が現れます。
ω2受容体を刺激すると、抗不安、抗痙攣、筋弛緩などの作用が現れます。
ゾルピデムは、超短時間型催眠薬ですが、比較的持ち越し効果や反跳性不眠などの副作用が少なく、筋弛緩作用が少ないなどの利点があり、よく使用されています。

 

ラメルテオンは、メラトニンMT1、MT2受容体を選択的に刺激し、睡眠を誘発します。
MT1受容体の刺激は、神経興奮の抑制や体温下降作用などがあり、睡眠を誘発させます。
MT2受容体の刺激は、体内時計を同調させサーカディアンリズムの位相を変動させます。

 

リルマザホンは、ベンゾジアゼピン系の開環誘導体であり、生体内で閉環してベンゾジアゼピン系化合物となり、作用を発揮します。

 

トリアゾラムは、ベンゾジアゼピン系の超短時間型として作用し、睡眠を誘発します。

 

以上より、3 ラメルテオン が答えです。

 

 

 

 

問62 バセドウ病に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
1 体重増加を認める。
2 脈拍数が減少する。
3 発汗が抑制される。
4 血清TSH 値が増加する。
5 手指の振戦を認める。

 

【解説】
バセドウ病は自己免疫性疾患であり、抗TSH受容体抗体、甲状腺刺激抗体が産生され、これらが常に甲状腺を刺激することで、過剰な甲状腺ホルモンが継続的に血中に放出される病態です。
甲状腺ホルモンは基礎代謝を更新するため、体重減少、発汗などがみられます。また、β受容体の増加作用があり、頻脈や、手指振戦もみられます。

 

過剰に甲状腺ホルモンが分泌されているため、負のフィードバックを介してTSH(甲状腺刺激ホルモン)の分泌は低下します。

 

以上より、5 手指の振戦を認める が答えです。

 

 

 

 

問63 骨粗しょう症の治療薬のうち、エストロゲン受容体に直接作用する薬物はどれか。1つ選べ。
1 デノスマブ
2 テリパラチド
3 イプリフラボン
4 ラロキシフェン塩酸塩
5 アルファカルシドール

 

【解説】
デノスマブは、抗RANKLモノクローナル抗体で、破骨細胞を抑制し、骨吸収を抑制します。
テリパラチドは副甲状腺ホルモン(PTH)製剤で、PTH受容体にアゴニストとして作用します。骨形成を促進し、骨量を増加させます。
イプリフラボンは、エストロゲンによるカルシトニン分泌促進作用を増強し、骨吸収を抑制します。
ラロキシフェン塩酸塩などの選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)は、エストロゲン受容体を介して作用を発揮します。骨に対してはエストロゲン様作用を示しますが、乳腺や子宮などに対してはエストロゲン作用はないのが特徴です。
アルファカルシドールは、活性型ビタミンD3製剤で、腸管におけるカルシウムの吸収を促進します。

 

以上より、4 ラロキシフェン塩酸塩 が答えです。

 

 

 

 

問64 アナフィラキシーショックに関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
1 主にⅣ型アレルギー反応である。
2 化学伝達物質の放出により、毛細血管の拡張が起こる。
3 ラテックスなどの皮膚接触も原因となり得る。
4 ぜん鳴や呼吸困難に対して、アミノフィリンが有用である。
5 血圧低下に対して、アドレナリンが有用である。

 

【解説】
アナフィラキシーショックは、特定のアレルゲンによってⅠ型アレルギー反応が生じ、ヒスタミンやロイコトリエンなどのケミカルメディエーターが遊離し、呼吸困難を伴うショック症状が引き起こされます。
ヒスタミンやロイコトリエンなどのケミカルメディエーターは血管拡張作用があり、血圧を低下させます。
ラテックスなども原因となりえます。
ケミカルメディエーターは気管支収縮作用を示し、喘鳴や呼吸困難を引き起こすことがあります。そのため、アミノフィリンを用いられます。アミノフィリンとは、テオフィリン2分子とエチレンジアミン1分子の塩であり、体内ではテオフィリンとして存在します。
アナフィラキシーショックの第一選択薬として、アドレナリンの筋注が用いられます。

 

以上より、1 主にⅣ型アレルギー反応である。 が答えです。

 

 

 

 

問65 風しんについて誤っているのはどれか。1つ選べ。
1 妊娠初期の罹患は胎児に奇形を発症させるリスクがある。
2 RNA ウイルスによる感染である。
3 発しんは、治療しなくても数日で消退する。
4 特異的IgM 抗体が急性期の血清中に出現する。
5 予防には、不活化ワクチンを接種する。

 

【解説】

風疹ウイルスの特徴

RNAウイルスであり、飛沫感染により生じる急性の発疹性感染症です。通常、3日程度で消失します。経胎盤感染による場合、胎児にも感染してしまうと先天異常を生じる可能性があります。予防には、生ワクチンの麻しん・風しん混合ワクチン(MR混合ワクチン)接種します。

 

感染症では、急性期にIgM抗体が、回復期にIgG抗体が上昇します。

 

以上より、5 予防には、不活化ワクチンを接種する。 が答えです。

 

 

 

 

問66 医薬品等の安全性に関する重要な情報であり、緊急安全性情報に準じ厚生労働省の指示で製造販売業者が作成し、指示後1ヶ月以内に医療関係者へ伝達するものはどれか。1つ選べ。
1 PMDA 医療安全情報
2 安全性速報
3 医薬品安全対策情報
4 医薬品・医療機器等安全性情報
5 医療用医薬品製品情報概要

 

【解説】
PMDA医療安全情報とは、これまでに収集されたヒヤリ・ハット事例や副作用・不具合報告の中から繰り返し報告されている事例などをわかりやすく解説し、医療従事者に広く周知することを目的にPMDAが作成したものです。

 

安全性速報とは、ブルーレターとも呼ばれ、緊急安全性情報の配布ほど緊急性はないものの重要な改定情報で、迅速に医療関係者へ注意喚起を図る必要性があるものです。緊急安全性情報に準じ厚生労働省の指示で製造販売業者が作成し、指示後1ヶ月以内に医療関係者へ伝達します。

 

医薬品安全対策情報とは、日本製薬団体連合会が提供する添付文書の「使用上の注意」の改訂情報をまとめたものです。

 

医薬品・医療機器等安全性情報とは、医薬品の副作用症例などをまとめたもので、厚生労働省医薬・生活衛生局が発行しています。

 

医療用医薬品製品情報概要は、個々の医薬品に関する正確な情報を医療従事者に伝え、その製品の適正な使用の促進を図ることを目的として、日本製薬工業協会作製しています。

 

以上より、2 安全性速報 が答えです。

 

 

 

 

問67 正規分布が仮定できる数値データについて、2群間の平均値の差の検定に用いる統計手法はどれか。1つ選べ。
1 符号検定
2 カイ二乗検定
3 Student のt 検定
4 Fisherの直接確率法
5 Wilcoxonの順位和検定

 

【解説】
符号検定は群間の差の符号(+か-)に着目して検定します。
カイ二乗検定は、2つの群からそれぞれ標本を取り出し、イベントが起こる頻度に差があるかどうかを調べる検定です。
Student のt 検定は、2つの集団の平均に有意な差があるかどうかを検定するのに用いられます。
Fisherの直接確率法は、2つのカテゴリーに分類されたものが、互いに無関係か、何らかの関係性があるのかを検定するのに用いられます。
Wilcoxonの順位和検定とは、2つのデータの中央値に差があるのかどうかを検定します。

 

以上より、3 Student のt 検定 が答えです。

 

 

 

 

問68 最新の臨床上のエビデンスが要約されている情報集を用い、効率的にEBMを実践したい。情報源として最も適切なものはどれか。1つ選べ。
1 USP-DI
2 Up to Date
3 Drug Safety Update
4 Physicians’Desk Reference
5 British National Formulary

 

【解説】
USP-DIとは、米国薬局方収載の医薬品に関する使用・投与上の情報を提供する公定書です。

 

UptoDateとは、臨床上の疑問に対し、専門医の解答や診療指針を収録しています。最新の臨床上のエビデンスが要約されており、EBMに欠かせないツールとして評価されています。

 

Drug Safety Updateとは、医薬品安全対策情報のことで、日本製薬団体連合会が提供する添付文書の「使用上の注意」の改訂情報をまとめたものです。

 

Physicians’Desk Referenceとは、米国FDAの承認を受けた医薬品が収載されています。

 

British National Formularyとは、英国で使用可能な医薬品に関する情報源です。

 

以上より、2 Up to Date が答えです。

 

 

 

 

問69 バイタルサインに含まれないものはどれか。1つ選べ。
1 体温
2 血圧
3 脈拍数
4 腱反射
5 呼吸数

 

【解説】
バイタルサインとは、一般的に脈拍、呼吸、血圧、体温の4つのことを言います。

 

以上より、4 腱反射 が答えです。

 

 

 

 

問70 乳汁分泌を抑制することから、授乳婦に投与すべきでない薬物はどれか。1つ選べ。
1 アミオダロン塩酸塩
2 シクロスポリン
3 ドキソルビシン塩酸塩
4 ブロモクリプチンメシル酸塩
5 炭酸リチウム

 

【解説】
乳汁分泌に関わっているホルモンとして、プロラクチンがあります。
関連するものとして、ドパミンはプロラクチンの分泌を抑制します。なので、ドパミンD2受容体刺激薬は乳汁分泌を抑制する効果があります。
D2受容体刺激作用があるブロモクリプチンは、乳汁漏出症や高プロラクチン血性排卵障害などに用いられます。乳汁分泌を抑制するため、妊婦には投与すべきではありません。

 

以上より、4 ブロモクリプチンメシル酸塩 が答えです。

 

 

 

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