【薬学がわかる】利用薬作用機序のまとめ(腎臓に作用する薬)

利用薬のまとめ(腎臓に作用する薬)

 このエントリーをはてなブックマークに追加 

利尿薬

利尿薬は、尿量を増加させることで循環血液量を減少させることができます。この効果によって、浮腫や高血圧の改善に用いられます。利尿薬には、以下のものがあります。

 

①炭酸脱水素酵素阻害薬
②浸透圧性利尿薬
③ループ利尿薬
④チアジド系利尿薬
⑤抗アルドステロン薬
⑥Na+チャネル遮断薬

 

利尿薬の作用部位は、以下の図を参考にしてください。
利尿薬

 

利尿薬の種類と作用部位

利尿薬が効く仕組みで大切なことは、「水分はNa+と連動して移動する」ということです。つまり、水はNa+と一緒についていくということです。そのため、Na+の動きを理解することで、水の動きも理解することができるようになります。

 

それでは、それぞれの利尿薬の働きを見ていきましょう。

 

Sponsored Link
Sponsored Link

Sponsored Link

 

①炭酸脱水素酵素阻害薬(アセタゾラミド)

弱い利尿作用がありますが、最近は緑内障治療薬として用いられることが多いです。
炭酸脱水素酵素阻害薬
【作用】
・近位尿細管の炭酸脱水素酵素を阻害することで、H2OとCO2からH+とHCO3-が生成されなくなる→尿細管細胞内で生成されるH+が減少→Na+と交換するH+がないので、Na+ - H+交換系は働かなくなる→その結果、H+の排泄減少、Na+の再吸収減少→利尿作用
・毛様体上皮の炭酸脱水素酵素を阻害→眼房水産生を抑制→眼圧低下(緑内障の治療)

 

【副作用】
・低K血症
→近位尿細管内でNa+濃度が上昇して遠位尿細管へと運ばれていきます。その結果、遠位尿細管において、Na+ - K+交換系が促進します。そのため、K+の排泄が促進され、低K血症を起こします。
(参考)
・HCO3-排泄亢進による代謝性アシドーシス
炭酸脱水素酵素を阻害することで、H+は尿細管内に分泌されなくなります。通常、ろ過されてきたHCO3-は、尿細管内でH+と反応し、H2CO3となります。しかし、炭酸脱水素酵素阻害薬使用時は、H+が減少しているので、そのままHCO3-として排泄されていきます。つまり、HCO3-の尿中排泄増加により尿はアルカリ性に、血液は酸性に傾きます。(代謝性アシドーシス)

 

【+α】
弱い利尿作用があるため、緑内障治療薬として使う場合でも、就寝前は避けた方がいいと考えられます。

 

Sponsored Link
Sponsored Link

Sponsored Link

 

②浸透圧性利尿薬(D-マンニトール、イソソルビド、高張グリセロール)

【作用】
・投与することで、血液の浸透圧が上昇→組織水分を血液中に吸引→腎血流量が増加し、糸球体ろ過量が増大します。
・浸透圧性利尿薬は、尿細管でほとんど再吸収されないので、尿細管腔内の浸透圧が上昇する→尿細管腔内の方が浸透圧が高いため、尿細管からのNa+、H2Oの再吸収は抑制されます。
これらの効果により、利尿作用を示します。

 

【+α】
イソソルビドシロップは独特の味があります。飲みやすくするために、冷水で2倍程度に希釈、レモンの絞り汁をかける、シャーベット状にして服用するなどの方法があります。

 

 

③ループ利尿薬(フロセミド、ブメタニド、トラセミド、アゾセミドなど)

最も強力な利尿薬ですが、低K血症の副作用があります。心不全に対して使用するジギタリス製剤との併用には注意が必要です。
ループ利尿薬

 

【作用】
ヘンレループ上行脚のNa+ - K+ - 2Cl-共輸送体の作用を阻害することで、尿量を増加させます→利尿作用

 

【副作用】
・低K血症
Na+ - K+ - 2Cl-共輸送体の作用を阻害をすることで、遠位尿細管腔内でのNa+の濃度が上昇→Na+ - K+交換系が促進→K+の排泄を促進→低K血症へと繋がります。

 

・高尿酸血症
高尿酸血症
 腎臓でろ過された尿酸の約90%は近位尿細管で再吸収され、残り10%が尿中に排泄されます。この尿酸の再吸収はURAT1(尿酸トランスポーター)によって行われています。このURAT1は、有機アニオン(グルコース、アミノ酸などの陰イオン)、乳酸、ニコチン酸などと交換で尿酸を再吸収します。
 利尿薬の使用によって血液量が減少すると、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系が活性化し、Na+吸収を伴う血圧の上昇が起こります。有機アニオンは、近位尿細管でNa+と共輸送によって再吸収されるので、Na+と一緒に尿細管細胞内へと再吸収されます。尿細管細胞内で増加した有機アニオンは、URAT1を介して尿酸と交換されます。このようにして、尿酸が再吸収され高尿酸血症になると考えられます。

 

・耐糖能低下
低K血症が生じることで、膵β細胞のATP依存性カリウムチャンネルがきちんと作動しなくなることで、インスリンの分泌が抑制されるためと考えられます。

 

・聴覚障害(耳鳴り、難聴)
リンパ液のイオンバランスが崩れることで起こることがあると考えられます。

 

【相互作用】
・アミノグリコシド系抗菌薬、シスプラチンなどとの併用で、聴力障害が増強されることがあります。

 

・ジギタリス製剤との併用で、心収縮力増強、不整脈の危険増加などがあります。
強心作用
→これを理解するためには強心配糖体の作用機序を理解しておく必要があります。
 ジギタリス製剤は、心筋細胞においてNa+ - K+ATPaseを阻害します。Na+ - K+ATPaseは、Na+を細胞外に、K+を細胞内に取り込むように働きます。ここで、ジギタリスがこれを阻害するため、Na+の流出が減少し、細胞内のNa+濃度は上昇します。
 次に、Na+ - Ca2+交換系を見ていきます。Na+ - Ca2+交換系は、Na+を細胞内に、Ca2+を細胞外へと交換します。ジギタリス製剤使用時は、細胞内のNa+濃度が高まっているため、この交換系の働きは抑制されます。その結果、細胞内のCa2+濃度が上昇します。このCa2+の働きによって、筋収縮力が増大し、強心作用を示します。
 ここで、話を戻します。ループ利用薬の副作用で低K血症になると、もともとの細胞外のK+濃度が減少しています。つまり、Na+ - K+ATPaseが十分に働くことができません。そのため、細胞内のNa+濃度が上昇し、Na+ - Ca2+交換系が抑制され、強心作用の増強へと繋がります。このため、併用するとジギタリス製剤の強心作用が増強されると考えられます。

 

【+α】
・低K血症について
→血清K+濃度が3.5mEq/L未満の時を低K血症といいます。原因としては、下痢、K+摂取不足、利尿薬の副作用などがあります。
 症状としては、心室性不整脈、全身倦怠感、しびれ(テタニー)、筋肉痛、脱力、筋力低下などがあります。(K+は細胞膜が興奮するのに重要な因子であるため、神経や筋を中心とした症状が現れやすいと考えられます。)

 

・トラセミドにはアルドステロン受容体拮抗作用があり、抗アルドステロン作用により他のループ利尿薬に比べて低K血症を起こしにくいという特徴があります。
・ループ利尿薬の乱用(ダイエット目的など)で偽性バーター症候群を発症することがあります。
※偽性バーター症候群:Na+ - K+ - 2Cl-共輸送体の機能障害を認めないにも関わらず、2次性のRAA系亢進と低K血症、代謝性アルカローシスを呈する病態。

 

Sponsored Link
Sponsored Link

Sponsored Link

 

④チアジド系利尿薬(トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、メフルシド、インダパミドなど)

※メフルシド、インダパミドは薬理作用はチアジド系利尿薬に似ていますが、化学構造が異なっており、非チアジド系利尿薬と呼ばれます。
利尿効果はループ利尿薬に劣りますが、高血圧症に対する利尿薬としては第一選択薬となります。
チアジド系利尿薬
【作用】
遠位尿細管のNa+ - Cl-共輸送系を阻害することでNa+再吸収を抑制し、尿量を増加させます。弱い炭酸脱水素酵素阻害作用もあります。

 

【副作用】
ループ利尿薬と同じ低K血症、高尿酸血症、耐糖能低下に加えて、光線過敏症が知られています。
(詳しい考え方は、上記のループ利尿薬での説明を参照)

 

【相互作用】
ジギタリス製剤との併用で心収縮力増強、不整脈の危険増加などがあります。
(詳しい考え方は、上記のループ利尿薬での説明を参照)

 

【+α】
末梢血管を拡張する作用もあるため、高血圧に対する利尿薬として第一選択薬となります。

 

⑤抗アルドステロン薬(スピロノラクトン、エプレレノン、カンレノ酸カリウム)

血中K+を保持する利尿薬です。ループ利尿薬やチアジド系利尿薬による低K血症を軽減させるために、補助的に使用されることが多いです。
抗アルドステロン薬
【作用】
集合管および遠位尿細管のアルドステロン受容体に結合→アルドステロンと競合的拮抗→Na+ - K+交換系が抑制→Na+再吸収を抑制→利尿作用

 

 

【副作用】
高K血症、女性化乳房(ステロイド骨格をもっており、男性ホルモン(アンドロゲン)受容体にも結合し邪魔をするため(抗男性ホルモン作用)、女性化乳房をきたすことがあります。)

 

【+α】
アルドステロン受容体への選択性が高いエプレレノンでは、女性化乳房の発現頻度が低いとされています。そのため、スピロノラクトンからエプレレノンに切り替えることで、この副作用を回避できると考えられます。

 

⑥Na+チャネル遮断薬(トリアムテレン)

【作用】
遠位尿細管・集合管のNa+輸送を直接阻害→利尿作用

 

【副作用】
高K血症

 

⑦バソプレシンV2受容体拮抗薬(トルバプタン)

【作用】
バソプレシンV2受容体で拮抗することにより、腎集合管でのバソプレシンによる水の再吸収を抑制する。水を選択的に排泄するため、電解質の排泄は増加されません。

 

【副作用】
高Na血症

 

まとめ

薬物

特徴

【炭酸脱水素酵素阻害薬】

アセタゾラミド

・近位尿細管の炭酸脱水素酵素を阻害

→Na+ - H+交換系の抑制

・毛様体上皮の炭酸脱水素酵素を阻害
→眼房水産生を抑制→眼圧低下(緑内障の治療)

【浸透圧性利尿薬】

D-マンニトール、イソソルビド、高張グリセロール

・血液の浸透圧が上昇→組織水分を血液中に吸引→腎血流量が増加し、糸球体ろ過量が増大

・尿細管腔内の浸透圧が上昇→尿細管からのNa+、H2Oの再吸収抑制

【ループ利尿薬】

フロセミド、ブメタニド、トラセミド、アゾセミド

・ヘンレループ上行脚のNa+ - K+ - 2Cl-共輸送体の作用阻害

・トラセミドは抗アルドステロン作用あり

【チアジド系利尿薬】

トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、

メフルシド、インダパミド

・遠位尿細管のNa+ - Cl-共輸送系を阻害

・弱い炭酸脱水素酵素阻害作用あり

【抗アルドステロン薬】

スピロノラクトン、エプレレノン、カンレノ酸カリウム

・集合管および遠位尿細管のアルドステロン受容体に結合→アルドステロンと競合的拮抗→Na+ - K+交換系が抑制

【Na+チャネル遮断薬】

トリアムテレン

・遠位尿細管、集合管のNa+輸送を直接阻害

【バソプレシンV2受容体拮抗薬】

トルバプタン

・バソプレシンV2受容体で拮抗

→腎集合管でのバソプレシンによる水の再吸収抑制

Sponsored Link
Sponsored Link

Sponsored Link

関連ページ一覧

利尿薬

利尿薬利尿薬は、尿量を増加させることで循環血液量を減少させる...

膀胱炎

排尿障害(前立腺肥大症)排尿障害とは、何かしらの原因で尿路が...

 このエントリーをはてなブックマークに追加 
Sponsored Link
Sponsored Link

Sponsored Link