肺胞性肺炎、真菌性肺炎の病態、診断、治療について

肺胞性肺炎、真菌性肺炎の病態生理

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肺胞性肺炎の概念

主に病原性微生物が肺の中に侵入し感染することによって、肺胞腔内に炎症が起きることをいいます。

 

①肺炎球菌

患者の約半数は肺炎球菌によるもので、肺炎の原因として最も多いです。また、肺炎球菌は肺炎の以外に、中耳炎・副鼻腔炎・髄膜症などの原因にもなります。

 

主な症状
咳や痰、発熱などの症状が現れてきます。健常人が感染した場合、重症化することは少ないですが、HIV感染者、高齢者などの免疫力が弱い人では注意が必要になってきます。

 

治療薬
第一選択薬として、ペニシリン系抗生物質(アンピシリンなど)が投与されます。高齢者などの感染しやすい人は肺炎球菌ワクチンを接種しておくことが大切です。

 

②インフルエンザ(桿)菌

口の中の常在菌であり、肺炎の原因として多いです。肺炎の原因として重要ですが、慢性呼吸器疾患の増悪因子としても重要です。また、髄膜炎を起こすこともあります。

 

治療薬
この菌は、アンピシリンなどに対して反応性が良いです。そのため、β-ラクタム系の抗菌薬が用いられます。また、最近β-ラクタマーゼを産生する菌が現れてきたため、第三世代のセフェム系も用いられることもあります。

 

③マイコプラズマ肺炎

小児から成人(5歳から25歳)で多く発症します。
大半は咳や痰からの飛沫感染が原因となります。学校などで一人が発症すると、周りの人も感染してしまうのはそのためです。

 

主な症状
頑固な激しい咳が続きます。しかし、痰が絡むことは少なく、乾燥した咳であることが特徴です。多くの場合は発熱も伴います。

 

治療薬
マイコプラズマの特徴として大切なのは、細胞壁を持っていないことです。そのため、細胞壁の合成を阻害するβ-ラクタム系抗菌薬の投与は効果がありません。
そこで、治療薬として用いられるのは、マクロライド系抗菌薬(アジスロマイシン、エリスロマイシン)などです。

 

④レジオネラ肺炎

レジオネラ菌は、マクロファージ内で増殖を起こす細胞内寄生菌です。咳、痰、高熱などの症状が現れ、重症化すると呼吸不全を起こして死亡することもあります。

 

感染経路として、マンションや温泉などの貯水槽で増殖を起こし、エアロゾルとして経気道的に感染します。また、この菌は1976年に米国フィラデルフィアの在郷軍人に対して集団感染が起こしたことから、在郷軍人病とも呼ばれます。
 
治療薬
治療薬を考えるうえで大切になるのは、この菌が細胞内寄生菌であることです。
つまり、細胞内移行性のよいニューキノロン系やテトラサイクリン系、マクロライド系の抗菌薬を用いる必要があります。

 

⑤メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)性肺炎

多剤耐性菌であり、β-ラクタム系抗菌薬やその他の多くの薬剤に対して耐性を示します。弱毒菌であるため、入院患者などの免疫力が低い人に発症し、院内肺炎の原因となって問題になっています。

 

治療薬
バンコマイシン、テイコプラニン、アルベカシン、リネゾリドが用いられます。また、医療従事者MRSA予防(除菌)として、ムピロシンが用いられます。

 

 

真菌性肺炎の概念

真菌によって起こる肺の感染症です。真菌は感染力が弱いために、健康な人に感染することはありません。よって、感染する人は、免疫抑制薬や抗がん剤を投与している人、AIDS患者などが挙げられます。こういった免疫力が落ちることで感染することを、日和見感染症といいます。

 

原因菌として、カンジダ、アスペルギルス、クリプトコッカス、ムーコルなどが主な原因となりますが、アスペルギルス症が最も多いです。

 

原因菌・病態

①肺アスペルギルス症

肺真菌症の中で最も多いです。免疫力の弱っている人が、大気中のアスペルギルス菌を吸い込むことによって感染します(日和見感染症)。

 

治療薬
アムホテリシンBなどの抗真菌薬を用います。

 

②ニューモシスチス肺炎

AIDS患者に発症しやすい疾患です。ニューモシスチス・ジロヴェチが感染することによって発症します。

 

治療薬
ST(スルファメトキサゾール・トリメトプリム)合剤を用います。

 

参考メモ)
抗真菌薬のほとんどは脂溶性。
注射剤は混注×
経口投与時は食直後(胆汁酸でミセルが形成されるため)
例外:ミコナゾール内用液は食前投与

 

 

このページで確認しておくことのまとめ

  • 肺胞性肺炎、真菌性肺炎の概念
  • それぞれの肺炎の特徴について

 

以上、肺胞性肺炎、真菌性肺炎の病態生理についての説明でした。

 

少しでも役立つ情報であったならうれしいです。

 

以下に、呼吸器・胸部の疾患に関する疾患についての関連ページがありますので、気になる点は確認しておきましょう!

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