慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎)の病態、診断、治療について

慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎)の病態生理

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肺気腫、慢性気管支炎の概念

たばこの煙など有害物質を長期間吸い続けることで、気道の閉塞が起こり、呼吸困難を起こす疾患です。主として、肺気腫と慢性気管支炎を併せて慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)といいます。気管支喘息とは違い、不可逆的な疾患(治らない)であり、治療は対症療法なります。

 

肺気腫、慢性気管支炎の成因

大気汚染や、α1-アンチトリプシン欠損症なども原因となりますが、喫煙が最大の原因となります。タバコ病といわれるほど関連が深いです。
また、COPDの人は、うつ病も併発していることが多いという報告もあります。

 

患者は高齢者に多く男性が女性の約2.5倍です。
これは、ある程度長期間にわたって、たばこなどを吸っていることで発症するため高齢者に多くなってきます。また、たばこを吸っている人は男性の方が多いため、男女の比率でも男性が多くなっています。

 

参考)α1-アンチトリプシンの働き
プロテアーゼを介した組織破壊から肺を守る酵素としての作用があります。
α1-アンチトリプシンは肝細胞や単核細胞により合成されて、血流を介して肺内へ運ばれてきます。このα1-アンチトリプシンが欠損していると、エステラーゼといった肺胞を破壊する酵素を阻害することができないため、肺胞の破壊が進み、COPDが進行してしまいます。

 

肺気腫、慢性気管支炎の病態

たばこなどで障害されることによって、肺や気管支に炎症が起こっています。これらを元に、さらに炎症が進行していき、広範囲に広がったり、慢性化したりすることでどんどん進行していきます。

 

肺の末梢側、つまり肺胞に炎症が起こった場合、肺胞が破壊され肺気腫になります。

 

肺の中枢側、つまり気管支に炎症が起こった場合には、気道上皮に浮腫が起こったり、気道平滑筋が厚くなったり、気道の分泌液が溜まったりするといった気道の病変が生じます。

 

肺気腫、慢性気管支炎の症状

はじめの頃は、咳や痰が主な症状になりますが、次第に少し階段を上っただけで息を切らしたり、少しの運動ですぐに息が上がるなどの労作性呼吸困難を生じるようになってきます。
肺炎、気管支炎を起こしやすく、それがもとになって増悪を繰り返します。また、右心不全(肺性心)を合併することがあります。

 

参考)右心不全が起きる過程
低酸素→肺動脈のれん縮→肺動脈の血圧が上がる→右心負荷→右心不全(肺性心)

 

肺胞破壊→肺毛細血管 (肺血管床)の減少→肺動脈圧上昇→右心負荷→右心不全(肺性心)

 

肺気腫、慢性気管支炎の検査・診断

喫煙者は、COPDの可能性があることを念頭に入れておく必要があります。特に高齢の喫煙者では、長年喫煙しているため肺の炎症が何度も起こっており、COPDである可能性はさらに高いです。

 

そのため、症状として労作時の息切れや、咳、痰などがありますが、症状がなくても初期のCOPDである可能性は常に疑っておくべきです。

 

 

診断は、呼吸機能検査(スパイロメトリー)で行います。また、胸部X線検査をおこなったりもします。

 

この時、進行したCOPD患者では、血管の影が薄くなり、また肺の透過性が上がることが特徴的です。これは肺の毛細血管が減少していることが原因です。

 

詳しく説明すると、COPD患者では、肺の毛細血管にも大きなダメージを受けています。そのため、毛細血管床(毛細血管の総表面積)が小さくなり、肺を取り巻く赤血球数が減少します。赤血球にはヘム鉄が含まれており、この鉄がX線を吸収するのですが、鉄の量が減少していることで吸収されるX線量が減り、血管影がはっきり見えなくなります。そして、X線が肺を素通りしていくので、肺の透過性も上がっていきます。

 

検査項目

1秒率低下:70%以下で閉塞性換気障害と判断します。

 

肺の残気量増加
残気量とは、最大限に息を吐き出した後に、肺の中に残っている空気の量のことです。COPDの人の肺は弾力性がなくなっているために、空気を出し切ることができず、残気量が増加します。

 

 

肺気腫、慢性気管支炎の治療

たばこが最大の原因であるため、禁煙することが原則です。
COPDは不可逆的な疾患であるため、治療は気管支拡張薬を用いた対症療法が中心となります。また酸素療法が行われることもあります。

 

治療薬

①抗コリン薬(イプラトロピウム、フルトロピウムなど)(吸入)
COPDの第一選択薬です。β2刺激薬に比べて心臓への影響が少ないという特徴があります。しかし、前立腺肥大症、閉塞隅角緑内障患者には禁忌です。

 

②副腎皮質ステロイド薬(べクロメタゾン、フルチカゾンなど)(吸入薬)
炎症が起こっているので使用できると考えましょう。副作用として、嗄声やカンジダ症があるため、吸入後のうがいの指導が必要です。

 

③β2刺激薬(サルメテロール、ツロブテロールなど)(吸入・テープ)
気道も狭くなっているので、広げる必要がありますので、使用することが想像できると思います。副作用として、頻脈や振戦などがあります。

 

 

このページで確認しておくことのまとめ

  • 慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎)の概念
  • 気管支喘息との違いについて

 

以上、慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎)の病態生理についての説明でした。

 

少しでも役立つ情報であったならうれしいです。

 

以下に、呼吸器・胸部の疾患に関する疾患についての関連ページがありますので、気になる点は確認しておきましょう!

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