気管支喘息の病態、診断、治療について

気管支喘息の病態生理

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ここでは、私が勉強するにあたって意識していることを説明しながら、それぞれ見ていきたいと思います。

 

まず初めに、病態生理を勉強するにあたってどこがポイントなのかしっかり意識できるか、できないかで大きく理解度が変わってきます。

 

では、どこがポイントとなるのでしょうか?

 

それは、多くの参考書で一番はじめに書かれている概念についてです。多くの方は、さっと流し読みをしてしまっているのではないでしょうか?

 

それは絶対にやめましょう。

 

なぜ、概念の部分が大切かというと、その病気がどのような病気であるかがまとめられて書かれているからです。つまり、概念を読むことで、その病気がどのような病気であるかがわかるのです。

 

多くの人は、病気のメカニズムや治療薬など、細かい点から勉強してしまいがちですが、それでは別々に覚えていくことになってしまい、覚えることがただでさえ多いのに、余計に大変になってしまいます。

 

そうではなく、まずは全体を見渡し、それぞれのつながりを意識した方が、圧倒的に理解が進みます。

 

いろいろと語ってしまいましたが、実際にやってみないとわからないことだと思います。
それでは、実際に見ていきましょう。

 

気管支喘息の概念

概念は最も大切にしなければいけない部分ですので、しっかり理解してきましょう。

 

気管支喘息とは、気道粘膜に慢性的な炎症が起きていて、可逆的(元に戻る)な気道狭窄や、軌道の過敏性が亢進している状態(少しの刺激で過敏に反応する)です。
その結果、症状として繰り返し起こる咳や、喘鳴(ぜんめい)、呼吸困難などが現れてきます。
最近、ライフスタイルの変化などに伴って、アレルギー性疾患の患者数が年々増加しています。併せて、気管支喘息の患者数も年々増加しています。

 

まず、ここで一番重要なのは、「気道粘膜に慢性的な炎症」が起こっているということです。それに伴って、気道狭窄や軌道の過敏性が亢進しています。

 

つまり、気管支喘息ってどんな病気であるか?と問われた時に、「気道粘膜の慢性的な炎症が起きている状態」と答えられるかどうかがポイントとなります。
まずはこれをしっかり覚えておきましょう。この後を見ていくうえで、非常に大切になってきます。

 

気道粘膜に慢性的な炎症が起きることで、気道の狭窄や軌道の過敏性が亢進しているんだなと見ていきます。

 

あと注目しておいてほしいことは、気道狭窄は「可逆的」であるということです。可逆的というと難しく聞こえるかもしれませんが、意味としては、自然に、あるいは治療によって治るということです。次に紹介しているCOPDとの違いを理解するうえで重要となります。

 

気管支喘息の成因

次は、成因について見ていきます。ここは、どのようなことが病気と関わっているのかについて確認していきます。

 

喘息は、発症機序の違いから外因性(アトピー型)内因性(非アトピー型)に分けられます。多くの場合は、Ⅰ型アレルギー機序で発症する外因性(アトピー型)です。

 

①外因性(アトピー型)
好発年齢として10歳以下の小児に多く、成長するにつれて軽快することが多いです。
アレルゲン(原因)が明らかで(ハウスダストやダニなど)、Ⅰ型アレルギー反応の機序で起きることが多いです。
参考)IgE抗体、好酸球は上昇します。

 

②内因性(非アトピー型)
好発年齢として成人(40歳以上)で多いです。 発症する要因として、ウイルス感染やタバコの煙、排気ガスなどの刺激で誘発されることが考えられます。
参考)IgE抗体、好酸球は上昇しません。

 

※外因性(アトピー型)において、IgE抗体、好酸球上昇する理由については、検査・診断のところで説明します。

 

気管支喘息の症状

症状は、気道粘膜の慢性的な炎症が起きることによって、気道の狭窄や気道の過敏性が亢進します。気道の狭窄が起きることで、喘鳴(喉でヒューヒューという高い音が出ること)、息切れ、痰などの症状が現れてきます。

 

喘息の発作が起きるとこれらの症状が激しく出るので、呼吸困難や過呼吸によって、酸欠が起こったり、体力の激しく消耗したりします。

 

また、インフルエンザなどのウイルス感染で、重篤な発作を起こす可能性があるため、しっかり予防することが大切となります。

 

ここでも、初めに確認した「気道粘膜の慢性的な炎症」を意識して見ていきます。
慢性的な炎症が起きているのだから、気道の狭窄が起き、喘鳴などの症状が出てくると理解します。

 

また、風邪やインフルエンザなどにも注意する必要があると理解できると思います。

 

気管支喘息の病態生理

外因性(アトピー型)

Ⅰ型アレルギー機序で生じる場合は、抗原抗体反応が起きています。
主に肥満細胞と好塩基球が化学伝達物質(ヒスタミン、ロイコトリエンなど)を分泌します。これによって、気管支平滑筋の収縮が起こったり、血管の透過性亢進や、粘液の分泌が過剰になります。

 

内因性(非アトピー型)

ウイルスの感染やたばこの煙などの刺激が引き金となります。
これらの刺激に過敏に反応してしまうことで、気管支平滑筋の収縮が起こり、気道の狭窄が起こります。また、気道粘膜の浮腫が起こったり、気道の分泌物が過剰に出ることで気道の閉塞も起こってきます(気道が詰まってしまうイメージです)。

 

発作は、気候が変化する季節の変わり目や、副感神経緊張が亢進する深夜から明け方に多くなります。

 

この病態を見ていくうえでも、気道の慢性炎症が起こっているということを頭に置いておきます。炎症が起こっているのだから、ウイルスの感染やたばこの煙などの刺激が入ってくると、過敏に反応するよねってことです。

 

気管支喘息の検査・診断

検査として行われるのは、呼吸機能検査や血液検査があります。

 

診断するためには、気道閉塞の可逆性を証明することが重要となってきます。
方法としては、β2刺激薬を吸入し、その前後で呼吸機能検査を行い、1秒量が基準以上に改善した場合、気道可逆性ありと診断されます。

 

血液検査では、外因性(アトピー型)の場合、好酸球の増加やIgE抗体の値の上昇がみられます。内因性(非アトピー型)ではこれらの上昇はみられません。

 

検査項目

①ピークフロー
ピークフローとは、大きく息を吸い込み、全力で息を吐き出した時の瞬間最大風速のことです。このピークフローは発作の前兆期に低下してきます。

 

このピークフローは、毎日測ることが大切となります。なぜなら、1日3回毎日測ることでいつもの瞬間最大風速がわかります。そこで、このピークフローが下がってくることがあれば、発作が起こる可能性があるとわかるためです。このようにして、発作の前兆を知ることができます。

 

②血中・喀痰中の好酸球、血清のIgE
Ⅰ型アレルギー疾患で増加します。

 

③1秒率
1秒率とは、1秒量 / 肺活量 × 100で求められます。
つまり、空気をいっぱい吸い込んで、その空気を最初の1秒で何%吐き出すことができるかということです。

 

通常の人であれば、ほぼすべての空気を1秒間の間で吐き出すことができるのですが、気管支喘息の人はできなくなります。一般的に70%以下で閉塞性換気障害と判断されます。

 

 

この検査・診断の項目を見ていくときも、気道の狭窄、過敏性の亢進があることがポイントになっていると意識しましょう。

 

なぜ、ピークフローや1秒率を検査するのですか?
それは、気道の狭窄などが起こることで、気管支喘息が起こるからですよね。つまり、検査する項目も気道の狭窄の具合を調べるものになってくるわけです。

 

そんなの当たり前じゃないかと思うかもしれませんが、意外と意識できていない人が多いのです。多くの人は、検査にはピークフローがあって、それから一秒率があって、えっとそれからIgEとかも調べた気がするなどと一つひとつ分けて覚えようとしてしまいます。

 

そうではなく、頭においてほしいことは、気道の慢性炎症から起こる、気道の狭窄や気道の過敏性亢進ということです。ここから、どんな検査が必要になってくるのかを連想していくのです。そうすることで、それぞれに繋がりが生まれてきます。そして忘れにくくもなるし、忘れても思い出しやすくなるのです。

 

 

参考)外因性(アトピー型)で好酸球、IgEの値が上昇する理由
外因性(アトピー型)では、Ⅰ型アレルギー反応が起きているということがポイントとなります。つまり、抗原抗体反応が起きるため、抗体の産生が亢進します。つまり、IgE抗体が増えてきます。

 

また、Ⅰ型アレルギー反応では、肥満細胞や好塩基球からヒスタミンやロイコトリエンが過剰に放出されます。このロイコトリエンの中でも、ロイコトリエンD4が好酸球産生に関わっているため、好酸球の値も上昇するのです

 

こう説明すると、アレルギーのある人は、肥満細胞や好塩基球の数がもともと多いのではないかと考える人もいますが、そんなことはありません。アレルギーである人とそうでない人で、肥満細胞や好塩基球の数に差はないのです。そのため、肥満細胞や好塩基球の数を検査しても差が出ないため、検査項目にはありません。

 

 

気管支喘息の治療

最後に治療について見ていきます。ここでも意識することは同じです。

 

薬物療法で大切になってくるのは、突然の呼吸困難を緩和させる発作治療薬(リリーバー)と発作を予防する薬(コントローラー)を区別することです。

 

発作時には、短時間作動型のβ2受容体刺激薬の吸入が行われます。
一方、発作の予防には、副腎皮質ステロイド剤の吸入や、長時間作動型のβ2受容体刺激薬の吸入を行います。また、同じ治療薬であっても投与方法が違うことで、その用途も異なってくるので注意が必要です。

 

治療薬の効果を判定する方法として、ピークフロー値を測定することも有用です。喘息患者さんの管理において、ピークフロー値を1日2~3回毎日測定することが大切になります。

 

発作治療薬(リリーバー)

①β2刺激薬(吸入):サルブタモール、プロカテロール
軽症で用いられます。

 

②キサンチン誘導体(静注):アミノフィリン水和物
中等症で用いられます。
参考)エチレンジアミンを溶解補助剤として使用します

 

③副腎皮質ステロイド薬(静注):ヒドロコルチゾンナトリウム
重症発作時に用いられます。
生ワクチンや弱毒生ワクチンとの併用は禁忌です。

 

長期管理薬(コントロール)

①β2刺激薬(吸入・テープ・経口):サルメテロール、ホルモテロール、ツロブテロールなど

 

②キサンチン誘導体(経口):テオフィリン徐放性製剤

 

③抗コリン薬(吸入):イプラトロピウムなど
前立腺肥大症や緑内障患者には禁忌です。

 

④副腎皮質ステロイド薬(吸入):ベクロメタゾン、フルチカゾンなど
第一選択薬として用いられます。

 

副作用として、嗄声、口腔カンジダ症があるので、うがいを指導が必要になります。また、食事の前に吸入することで、食事で洗い流されることが期待できるので、そういった服薬指導もいいと思います。

 

⑤抗アレルギー薬:クロモグリク酸ナトリウム、トラニラスト、プランルカスト水和物など
非アトピー型には効かないことに注意しましょう。

 

 

ここでも、治療薬に何があるがを考えるのではなく、気道粘膜に慢性的な炎症が起きていて、気道の狭窄や軌道の過敏性が亢進しているということから、どんな薬が使用できるのかという観点で考えていきます。

 

気管支喘息では、慢性的な炎症が起きているということから、炎症を抑える副腎皮質ステロイド薬は使えると考えることができます。

 

また、炎症に伴って気道の狭窄も起こっているので、気道を広げるβ2刺激薬やキサンチン誘導体、抗コリン薬も使用できます。

 

さらに、アレルギーも関与していたことを考えると、抗アレルギー薬が使用できることも容易に想像できると思います。

 

ただ教科書に書いてある薬を上から順に覚えるのではなく、病態を理解して、この薬が使用できると考えながら覚えていくことが大切だと思います。そうすれば、忘れにくいし、忘れても考えることで思い出すことができます。

 

勉強方法のまとめ

まず、しっかり理解しなければならないことは、病気の概念です。これがしっかり頭に入っていれば、そこから検査や診断、治療薬へと繋げることができます。

 

この勉強の仕方はどうだったでしょうか?
ただ、暗記するよりも覚えやすいし、何より楽しく思いませんでしたか?

 

無意味に覚えることほど、つらい作業はないと思います。しかし、病態を考え、そこから診断、治療薬へと結びつけていくと、なぜこのようなことをするのかがわかってきます。

 

病態について深く理解することができます。それってめちゃくちゃ面白いですよね。

 

このように勉強していけば、国家試験に出る範囲くらいはすぐに理解できると思います。

 

 

※言葉足らずや、説明が下手でうまく伝わらない部分があったかもしれませんが、勉強方法の参考にしていただければ幸いです。

 

 

このページで確認しておくことのまとめ

  • 概念を理解することの大切さ
  • それぞれのつながりを意識しながら勉強する

 

以上、気管支喘息の病態生理についての説明でした。

 

少しでも役立つ情報であったならうれしいです。

 

以下に、呼吸器・胸部の疾患に関する疾患についての関連ページがありますので、気になる点は確認しておきましょう!

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