劇症肝炎の病態、診断、治療について

劇症肝炎の病態生理

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劇症肝炎の概念

肝細胞が広汎な壊死によって、急速に肝萎縮、黄疸、出血傾向などの肝不全症状が現れる病態のことを言います。

 

診断基準では「肝炎症状発現後、8週間以内に高度の肝障害に基づいて肝性昏睡Ⅱ度以上の脳症をきたし 、プロトンビン時間40%以下を示すもの」と定義されています。

 

 

劇症肝炎の原因

原因の約90%は肝炎ウイルスによるものであり、HVB、HCVが主な原因です。

 

その他として、ベンズブロマロン、フルタミド、ハロタン、サルファ剤などの薬剤の副作用としても発症します。予後は不良であり、死亡することもあります。

 

 

劇症肝炎の症状

初期症状は急性肝炎と類似しており、発熱、嘔吐、食欲不振、全身倦怠感などを認めます。その後、肝不全症状や意識障害を主徴とします。

 

肝性脳症(肝性昏睡)

軽度から重度のものまで様々で、重症度を知る上で大切な症状です。

 

腸内細菌により産生され、腸管で吸収されたアンモニアなどの有害物質が肝臓で代謝されずに、直接脳へ移行することで生じる意識障害です。羽ばたき振戦や脳波異常などを生じます。

 

肝不全症状

一般的に正常な肝臓の重さは約1200gですが、劇症肝炎患者の肝臓は約600gほどしかありません。

 

症状として起こってくるのは、黄疸や消化管出血などです。肝臓でのグルクロン酸抱合が低下するため血清のビリルビンが上昇し、黄疸が起こります。また、肝臓で生成されていた血液凝固因子が合成されなくなるため、出血傾向になります。

 

 

検査・診断

急性のウイルス性肝炎に似ていますが、次の特徴があります。

 

①血液凝固因子の産生が低下するため、PT・APTT延長が起こります。

 

②血清AST、ALTの上昇。急激なAST・ALTの減少は、肝細胞壊死により細胞が残っていない状態を意味するため、予後不良です。

 

③肝細胞が破壊されているため、尿素サイクルが働かずアンモニアを処理できなくなるため、血中のアンモニアが増加します。

 

 

治療

治療として生体肝移植が適応となります。
また、肝細胞壊死を抑えたり、肝細胞の再生、透析によって中毒物質の除去を行ったりします。

 

①全身管理
絶対安静で、高カロリー輸液などで補給します。

 

②血漿交換療法
血中毒性物質の除去(透析)及びアルブミン、血液凝固因子などの補充を行います。

 

③グルカゴン・インスリン療法
肝細胞壊死の予防及び肝細胞再生の促進の目的で、グルカゴンとインスリンを同時に投与します 。

 

④合併症治療
消化管出血に対しては、H2受容体遮断薬を投与
肝性脳症に対してラクツロース、カナマイシンまたはポリミキシンBの経口投与
分岐鎖アミノ酸製剤の投与によってFischer比の改善
脳浮腫に対してマンニトールや濃グリセリン・果糖の投与
出血傾向に対してアンチトロンビンⅢやガベキサート、ナファモスタットの投与 
を行います。

 

このページで確認しておくことのまとめ

  • 劇症肝炎の概念について
  • 症状にどのようなものがあるか確認

 

以上、劇症肝炎の病態生理についての説明でした。

 

少しでも役立つ情報であったならうれしいです。

 

以下に、肝臓に関する疾患についての関連ページがありますので、気になる点は確認しておきましょう!

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