B型肝炎(急性/慢性)の病態、診断、治療について

B型肝炎(急性/慢性)の病態生理

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概念

次に、B型肝炎(急性 / 慢性)について見ていきます。

 

B型肝炎ウイルス(HBv)の感染によって生じる肝炎です。母子感染は、HBVの持続感染(キャリア化)の主な原因となっており、注意が必要です。潜伏期間は60~160日間です。

 

 

B型肝炎ウイルスの特徴

B型肝炎ウイルスの特徴について見ていきます。HBvは、ヘパドナウイルス科と言われるウイルスの一種です。

 

構造として、DNAとDNAポリメラーゼが、タンパク質とリン脂質からなる殻に包まれており、内側のタンパク質をカプシド、外側の脂質をエンベロープと言います。

 

カプシドを構成しているタンパク質がHBc抗原であり、エンベロープに存在するスパイクタンパク質がHBs抗原です。HBe抗原は、HBVが複製される際に一緒に作られます。

 

これらの抗原は、検査時にウイルスマーカーとして利用され、肝炎ウイルスがどのような状態であるか知る上で、非常に大切です。

 

 

感染経路

血液・体液により感染しますが、HBV感染者のほとんどが出産時に感染が起きる産道感染(垂直感染)が原因となっています。このほかに注射針の針刺し事故などもあります。

 

 

症状

感染時、ほとんど症状がみられることはありません(不顕性感染)。A型肝炎では黄疸は顕著に現れますが、B型肝炎ではほとんどみられません。

 

 

検査

次に、検査としてウイルスマーカーについて見ていきます。

 

ウイルスに感染することで、血中にウイルス抗原やそれに対する抗体が出てきます。これをウイルスマーカーと言います。
抗原は、ウイルスそのものか、またはその一部で、現在感染していることを意味します。
抗体は、ウイルスに対して免疫反応が起こり産生される糖タンパク質で、宿主の免疫状態を反映します。

 

HBs抗原 

HBVのエンベロープに存在する抗原で、B型肝炎の診断を行う際に一番大切なマーカーです。これが検出されるということは、現在感染中であることを示しています。

 

HBs抗体

HBVに対する中和抗体で、HBV感染の既往(過去の感染)の診断に用いられます。
HBs抗体が存在するということは、HBVが排除され、治癒していることを示します。

 

HBc抗原

HBs抗原に包まれているため、通常は検出されません。

 

HBe抗原

HBVの増殖マーカーで、HBV増殖時に血中に放出されます。HBVの活動が盛んで感染性が強いことを示します。

 

HBe抗体

HBe抗原に対する抗体で、B型肝炎ウイルスの活動性が低下したことを示します(回復期)。

 

HBeのセロコンバージョン

HBe抗原が陰性化し、HBe抗体が陽性化する過程のこと。これにより、肝炎の活動性が終息に向かいます。

 

参考)
AST、 ALTも上昇します。(AST < ALT)

 

B型肝炎対策

日本でのB型肝炎対策として、キャリアである母親からの垂直感染予防(出産時)が重要であり、母子感染防止対策が1986年から実施されています。

 

母子感染防止策では、生まれてきた子供に対して、生後48時間以内に抗HBs人免疫グロブリン(HBIG)を投与し、その後、B型肝炎ワクチン(HBVワクチン)を接種します。

 

参考)
抗HBs人免疫グロブリン(HBIG)の投与が48時間以内の理由
産道感染して、HBVが子供の血中に入り、48時間経過してしまうと肝細胞の中にHBVが入ってしまいます。HBIGは抗体であり、注射しても血中にのみ存在しており、細胞の中には入っていけません。そのため、48時間を経過してしまうとHBIGを使っても効果がなくなってしまうためです。

 

 

治療

健康な成人が感染した場合の多くは、自然に治癒します。ただし、慢性B型肝炎では逆転写酵素阻害薬(エンテカビル)やインターフェロン製剤が使用されます。

 

治療薬

インターフェロン製剤 : 慢性B型肝炎に用いる。
HBe抗原を陰性化し、B型肝炎を鎮静化する。副作用として、うつ症状、自殺企図、間質性肺炎などがあります。
抗ウイルス薬としては、エンテカビル、アデホビル、ラミブジンなどがあります。

 

このページで確認しておくことのまとめ

  • B型肝炎(急性/慢性)の概念について
  • B型肝炎ウイルスの構造について
  • ウイルスマーカーの意味について
  • B型肝炎対策について

 

以上、B型肝炎(急性/慢性)の病態生理についての説明でした。

 

少しでも役立つ情報であったならうれしいです。

 

以下に、肝臓に関する疾患についての関連ページがありますので、気になる点は確認しておきましょう!

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