急性A型肝炎の病態、診断、治療について

急性A型肝炎の病態生理

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概念

それでは、急性A型肝炎について見ていきます。

 

A型肝炎ウイルス(HAV)は経口感染(糞便感染)で、HAVに汚染された食物(カキなど)を摂取することにより感染します。潜伏期間があり、約1ヶ月で発症します。

 

参考)
糞便感染:ウイルスが胆汁排泄され糞便中に出るため、それが感染源となる。

 

 

病態

次に、体の中でどのようなことが起きているか見ていきます。

 

感染後、約1~2ヶ月程度で中和抗体(lgG型のHAV抗体)が産生されるため、治癒率はよいとされています(基本的に自然に治るので慢性化することはありません)。

 

日本も以前は感染者が多かったのですが、衛生状態の改善により、感染者は少なくなっています。しかし、感染者が減っているため、HAV抗体を持っている人も少なくなっています

 

特に、35歳未満の人はHAV抗体を持っているはほとんどいません。そのため、そのような人が海外旅行に行き、衛生状態の悪いところにおいて感染、もしくは輸入食品などで感染してしまうことがあるため、気を付けなければいけません。

 

 一方、50歳代後半以降のHAV抗体保有者は80%以上です。昔が、今とどれほど衛生状態が違っていたかがわかります。高齢者では重症化に注意する必要があります。lgG型のHAV抗体は、HAVに対する中和抗体で、これを獲得すれば終生免疫(一生抗体を持っている)が得られます。

 

症状

症状として挙げられるのは、感冒様症状(高熱、関節痛)、食欲不振、吐気、黄疸などです。黄疸の強さはA型肝炎 > B型 > C型の順です。(黄疸の強さの違いは免疫反応の強さと考えてください。)

 

検査

次に検査を見ていきます。

 

IgM型HAV抗体は発症後1週間以内に陽性を示し、数ヶ月後に消失します。このことからIgM型HAV抗体は、急性肝炎期の確定に利用されます。

 

また、IgG型HAV抗体もあり、これは感染後4週くらいから出現し、一生涯持続するため、HAV感染既往を意味します。IgG型HAV抗体は中和抗体であり、これを獲得すると終生免疫を得るため再感染はしなくなります。

 

AST、ALT
幹細胞が壊れるためAST、ALTが血中に出てきます。そのため血液検査でAST、ALTの値が上昇します。肝細胞にはALTが多いため、AST<ALTとなることが多いです。

 

予防法
HAVワクチンによる能動免疫(不活化したワクチンを入れる→免疫反応により抗体をつくる)か、ヒト免疫グロブリン(抗体を直接体内に入れる)による受動免疫を利用する方法があります。効果としては、HAVワクチンの場合約5年間程度有効、ヒト免疫グロブリン製剤は2~3ヶ月間有効とされています。

 

治療

最後に治療方法を見ていきます。

 

急性A型肝炎は一般的に自然に治ります。これは説明してきた通り、HAV抗体が体の中で作られるからです。このため、治療としては治癒の促進と慢性化の予防をしていきます。

 

輸液補給は急性期で、食欲不振のときに必要に応じて投与することもあります。また、肝庇護薬も用いられることがあります。

 

基本として、臥床・安静にしておくことが大切です。また、高タンパク食を取ることで、肝細胞の再生促進になります。

 

このページで確認しておくことのまとめ

  • 急性A型肝炎の概念について
  • IgM型HAV抗体、IgG型HAV抗体の意味

 

以上、急性A型肝炎についての説明でした。

 

少しでも役立つ情報であったならうれしいです。

 

以下に、肝臓に関する疾患についての関連ページがありますので、気になる点は確認しておきましょう!

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