胃潰瘍(消化性潰瘍)の病態、診断、治療について

胃潰瘍(消化性潰瘍)の病態生理

 このエントリーをはてなブックマークに追加 

概念

胃潰瘍・ 十二指腸潰瘍とは、ヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)の感染や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の投与により、胃粘膜、十二指腸粘膜の防御機構が壊れることで、胃内の塩酸が粘膜組織内に広がります。また、ペプシンとともに組織を自己消化することで、上皮組織の欠損を生じた状態を言います。

 

塩酸とペプシシの自己消化により発症するので、消化性潰瘍とも言われます。
しかし、近年は、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の発症には、塩酸やペプシンよりもヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)の感染やNSAIDsのほうが重要であることがわかってきました。そのため、消化性潰瘍という言葉は使われなくなってきており、その代わりにヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)潰瘍、NSAIDs潰瘍と呼ばれることが多くなっています。

 

 

成因

バランス説

通常は、胃には胃酸(塩酸)やペプシンなどの攻撃因子と胃の内壁を保護する防御因子があり、この両者のバランスが正常に保たれています。しかし、何らかのきっかけでこのバランスが崩れることで、症状が出てくるという説です。

 

攻撃因子が防御因子よりも大きい場合

何らかの原因で攻撃因子が増強、あるいは防御因子が弱体化し、胃酸やペプシンによって胃の粘膜が消化されることで潰瘍が発生します。

 

ヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)の感染

胃粘膜にヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)がいる場合、潰瘍ができやすくなったり、治りにくくなります。ヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)は、ウレアーゼ活性を持っていて、尿素からアンモニアを産生します。この尿素によって胃内の環境をアルカリ性に保ち、酸から身を守っています。
また、難治性の潰瘍患者の場合、高い確率でヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)が感染していることがわかっています。

 

NSAIDsによる潰瘍

NSAIDsを服用することによって、潰瘍が引き起こされることが知られています。

 

好発部位

胃潰瘍では、胃体部小弯、特に胃角部に多いです。

 

 

症状

胃潰瘍では食後に痛みが現れることが多いです。

 

十二指腸潰瘍では空腹時や夜間に痛みが現れてきます。そのため、逆に食事をすると痛みがおさまってきます。

 

 

診断

上部消化管の内視鏡検査が最も有効です。X線検査を行うこともあります。

 

C13-尿素呼気試験法

これは、ピロリ菌が持つ特性を利用した試験方法です。
ピロリ菌は胃の中で尿素を分解して、アンモニアと二酸化炭素を生成します。このとき発生した二酸化炭素は血中に吸収され肺に移行し、呼気として排泄されていきます。この一連の流れを利用します。

 

まずはじめに患者の呼気を採取します。次にC13-尿素というラベルの入った試験薬を患者さんに服用してもらいます。そうすると、ピロリ菌に感染している場合では、C13-尿素が分解されるため、C13の成分が含まれた二酸化炭素が多く検出されることになります。

 

一方、ピロリ菌に感染していない場合では、尿素が分解されることがないため、呼気中にはC13の含まれた二酸化炭素は出てきません

 

このように、試験薬を飲んでもらい呼気を確認するだけなので、すぐに結果がわかり、かつ簡便な方法です。

 

 

治療

ヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)に感染しているか確認し、陽性者にはヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)の除菌治療を行います。ヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)除菌が成功すれば、その後の薬物治療は基本的に不要です。

 

もし除菌に失敗した場合は、H2ブロッカー(常用量の1/2量)の投与を継続します。NSAIDs服用者には、可能であればNSAIDsの中止を勧めます。NSAIDs服用の継続が必要な場合は、PPI(プロトンポンプ阻害薬)、プロスタグランジン、高用量H2ブロッカーのいずれかを併用投与します。

 

 

ピロリ除菌

プロトンポンプ阻害薬(PPI)+アモキシシリン+クラリスロマイシンの3剤併用療法を基本に治療していきます。

 

プロトンポンプ阻害薬:胃内pHを上昇させることで、併用抗菌薬の抗菌活性を上昇させる効果があります
アモキシシリン:広域ペニシリン(細胞壁合成阻害作用)
クラリスロマイシン:マクロライド系抗生物質(タンパク合成阻害作用)

 

1日2回、7日間の服用で除菌を行います。

 

除菌後、4週間以上の間隔をあけてから除菌判定を行います。このときPPIやレバミピドなどを服用していると静菌作用により正しく判定ができなくなります(偽陰性)。

 

2次除菌としてはクラリスロマイシンの代わりにメトロニダゾールを使用します。
メトロニダゾール:抗原虫薬(DNA二重鎖切断作用)

 

このページで確認しておくことのまとめ

  • 胃潰瘍の概念
  • C13-尿素呼気試験法
  • ヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)の除菌治療

 

以上、胃潰瘍(消化性潰瘍)についての説明でした。

 

少しでも役立つ情報であったならうれしいです。

 

以下に、消化器系疾患についての関連ページがありますので、気になる点は確認しておきましょう!

関連ページ一覧

 

食道炎(GERD)の概念食道炎とは、さまざまな刺激が原因とな...

胃炎(急性・慢性)の概念①急性胃炎急激に心窩部痛などの症状が...

概念胃潰瘍・ 十二指腸潰瘍とは、ヘリコバクターピロリ(Hel...

概念大腸にびらん・潰瘍を形成する原因不明で難治性の慢性大腸炎...

概念好発年齢は20歳代の若年者で、口腔にはじまり肛門にいたる...

胸やみぞおち、おなかのあたりに不快な症状があるにもかかわらず...

 このエントリーをはてなブックマークに追加 
Sponsored Link
Sponsored Link

Sponsored Link