胃炎(急性・慢性)の病態生理
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胃炎(急性・慢性)の概念
①急性胃炎
急激に心窩部痛などの症状が現れた場合に使われていることが多いです。
原因は明確ではありませんが、ストレス、薬剤(NSAIDs、抗菌薬)、食事(香辛料、アルコールなど)、ヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)の感染などが考えられます。
②慢性胃炎(慢性胃炎は少なくとも3つの意味で用いられています)
1)内視鏡的胃炎
内視鏡検査で胃粘膜に白苔を伴うびらん、発赤、小出血などの異常所見が認められる場合に用いられます。つまり、簡単にいうと内視鏡検査で何か異常が見つかった場合です。
2)組織学的胃炎
胃粘膜の生検組織などで、胃粘膜に炎症細胞の浸潤や胃腺組織脱落(胃粘膜の萎縮)などの異常所見が見られる場合に用いられます。組織学的胃炎の大部分は、Helicobacter pylori感染の結果生じることが明らかとなっています。
3)臨床的胃炎
上腹部に痛みやもたれ感などの症状がみられる場合に用いられます。近年では、消化管の機能異常が自覚症状の主な原因と考えられるようになり、胃炎という言葉ではなく機能性胃腸症(FGID:Functional gastrointestinal disorders)という表現が用いられています。
治療
内視鏡的胃炎では、通常は治療の対象とはなりません。ただし、自覚症状を伴う場合や、出血が認められる場合には、治療が行われる場合があります。
ヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)による組織学的胃炎の場合は、除菌に用いられるPPI+APC(アモキシシリン)+CAM(クラリスロマイシン)の3剤併用療法で70~80%の除菌率が得られます。1次除菌で失敗した場合は、2次除菌を行います。
臨床的胃炎に関しては、自覚症状の発現機序が不明であり、消化管運動の機能改善薬や、酸分泌抑制薬などが用いられます。
このページで確認しておくことのまとめ
- 胃炎(急性・慢性)の概念
- 胃炎の種類について
以上、胃炎(急性・慢性)についての説明でした。
少しでも役立つ情報であったならうれしいです。
以下に、消化器系疾患についての関連ページがありますので、気になる点は確認しておきましょう!
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