白血病の病態、診断、治療について

白血病の病態生理

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白血病の概念

白血球の悪性腫瘍性疾患のことを言います。造血系の細胞が無制限に増殖する疾患です。

 

分類

白血病は急性慢性に分けられます。
急性と慢性の違いは、疾患の経過時間ではなく、白血球の分化・成熟過程のどの段階で癌化したかによります。急性では白血球が未熟な段階で、慢性ではある程度成熟した段階で癌化すると考えるとわかりやすいと思います。

 

急性白血病 : 未分化な白血病が骨髄内で無制限に増殖します。
慢性白血病 : 成熟した白血病が末梢血液内で増加します。

 

さらに、、癌化する白血球の違いによって骨髄性(顆粒球系)リンパ性に分けられます。

 

①急性白血病   
・急性骨髄性白血病
・急性リンパ球性白血病

 

②慢性白血病   
・慢性骨髄性白血病
・慢性リンパ性白血病

 

急性白血病

急性白血病概念

初期の分化段階である未熟な白血球が骨髄内で無限に増殖します。未熟な白血球で骨髄内が埋め尽くされ他の造血幹細胞を押しつぶします。そのため、骨髄内の造血幹細胞が減少し、汎血球減少になります。

 

急性白血成因

遺伝子レベルでの異常が原因になっていると考えられますが、詳しいことはわかっていません。

 

①急性骨髄性白血病
50歳以上に多く、芽球が骨髄の30%以上を占め、MPO染色陽性率3%以上の場合を言います。

 

②急性リンパ性白血病
10歳未満の小児に多く、芽球が骨髄の30%以上を占め、MPO染色陽性率3%未満の場合を言います。

 

急性白血の鑑別診断

骨髄を検査して、芽球の増加(30%以上)がみられた場合、急性白血病であるとわかります。その後、細胞の形態やミエロペルオキシダーゼ(MPO)染色、染色体、遺伝子などを調べることで鑑別を行います。

 

ミエロペルオキシダーゼ(MPO)染色

MPOは、好中球の顆粒に含まれる殺菌作用をもつ酵素です。
白血病細胞が骨髄系(陽性率3%以上)かリンパ系(3%未満)かを鑑別するのに用います。

 

Auer(アウエル)小体

急性前骨髄球性白血病でみられます。
アウエル小体はアズール顆粒というものが集まり融合してできています。このアウエル小体は、トロンボプラスチン様物質であるため、白血病細胞が壊れて血管内に出てくると、血液凝固が起こり播種性血管内凝固症候群(DIC)を発症します。

 

 

急性白血の治療

治療の目標としては、白血病の根絶ですが、まずは完全寛解(社会復帰可能な状態)を目指し、できるだけ速く抗悪性腫瘍薬の多剤併用投与を行います。

 

その後、地固め療法(寛解をさらに確実にする)、維持・強化療法(白血病細胞根絶に向けての治療)の順で治療を進めていきます。

 

参考)
完全寛解した状態でも、体内には10^9個ほど白血病細胞が残っており、これを微小残存病変(MRD)といいます。MRDは再発の原因となるため、PCR法によってMRDを検出し、治療効果を判定し、治療方針を決めることが重要になります。

 

①急性骨髄性白血病

寛解導入を目指し、アントラサイクリン(ダウノルビシン、イダルビシン)3日間とシタラビン7日間の併用療法が一般的です。

 

地固め療法では、アントラサイクリン、シタラビンのほかに、エトポシドやビンカアルカロイドを加えた化学療法を行っていきます。

 

急性骨髄性白血病の約9割は完全寛解でき、そのうち約3割は治癒します。

 

②急性前骨髄球性白血病

トレチノイン(all-trans retinoic acid : ATRA)による分化誘導療法が行われます。しかし、レチノイン酸症候群と呼ばれる呼吸不全が起きる可能性があるため、予防としてアントラサイクリンを併用します。

 

急性前骨髄球性白血病で抗がん剤を用いない理由

この白血病では、アウエル小体と呼ばれるものがみられます。ここに抗がん剤を投与すると細胞が壊れてしまい、アウエル小体の中身も出てきます。そうするとアウエル小体の中身はトロンボプラスチン様物質であるため、血管内で血液凝固が起こり播種性血管内凝固症候群(DIC)を発症してしまいます。

 

そのため、急性前骨髄球性白血病ではトレチノインを用います。このトレチノインは、前骨髄球の促進を促す作用があります。そのため、トレチノインを投与すると前骨髄球から好中球へと成長します。この好中球の寿命は3~4日であるため、そのまま死滅していきます。そうするとアウエル小体を破壊することなく減らしていくことができます。

 

③急性リンパ性白血病

寛解導入を目指し、VP療法(ビンクリスチン、プレドニゾロン)にアントラサイクリン系(ダウノルビシン、ドキソルビシン)を併用するのが一般的な治療です。

 

慢性骨髄性白血病

慢性骨髄性白血病の概念

造血幹細胞の一部が突然変異(フィラデルフィア染色体の出現)を起こし、各成熟段階の顆粒球の増加が起こります。治療しなかった場合、約5年ほど慢性期が続いた後、芽球が増加し、急性白血病に似た病態(急性転化)になり、死亡します。

 

ここでのポイントは、急性白血病とは異なり、各成熟段階の好中球が出現しつつ、末梢白血球が増加します。

 

慢性骨髄性白血病の成因

9番目と22番目の染色体の相互転座によってフィラデルフィア染色体という異常な染色体ができ、それが白血球の癌化に関与しています。

 

9番染色体と22番染色体の相互転座によって、22番染色体上のbcrと9番染色体のablが複合体を形成し、融合遺伝子bcr-ablができます。これより産生されるBCR-ABLタンパクは、活性化状態が続いたチロシンキナーゼで、常にアポトーシス抑制遺伝子の転写を促進し続けるため、細胞の不死化を引き起こします。

 

慢性骨髄性白血病の症状

慢性期では無症状であることが多く、健康診断などで発見されることが多いです。

 

症状として脾腫が現れることがあります。これは増えた細胞が骨髄以外の臓器に流れていくためです。そのため、左側の腹部膨満感を感じて病院に行くことが多いです。
また、脾腫が起こっているため疲労感や倦怠感、微熱やその他にも血小板数の増加などの症状も現れます。

 

慢性骨髄性白血病の治療

骨髄移植を行うことができれば完治が期待できますが、適合者を見つけることが難しいです。そのため、現在ではチロシンキナーゼ阻害薬のイマチニブを用いることが多いです。

 

分子標的治療薬(イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ)
BCR / ABL チロシンキナーゼを阻害します。

 

成人T細胞白血病

成人T細胞白血病の概念

RNAウイルスであるレトロウイルスのHTLV-1の感染によって引き起こされる難治性のT細胞増殖性疾患です。

 

患者の出身地が九州に多いという報告があります。また、HTLV-1の感染経路は母乳を介したものが多いです。感染してから発症までに30年から50年ほどかかります。

 

参考)発症メカニズム
HTLV-1に感染すると、HTLV-1はCD4陽性のT細胞に感染します。そして、HTLV-1のRNAをDNAに逆転写し、宿主のDNAに組み込まれます。組み込まれたDNAはすぐには発現せず、30から50年ほど潜伏します。その後、組み込まれたDNAが発現し、さらに遺伝異常が加わることで、感染したT細胞は癌化します。この癌化したT細胞は、IL-2とその受容体を産生している末梢血やリンパ節に浸潤していき、成人T細胞白血病を発症します。

 

成人T細胞白血病の症状

症状としては各組織に浸潤していくため、リンパ節の腫大や、肝脾腫、皮膚症状などを引き起こします。

 

また、正常なT細胞が減少するため免疫機能が低下し、感染しやすくなります。腫瘍細胞による副甲状腺ホルモン関連ペプチドの産生増加によって高カルシウム血症も起きてきます。

 

成人T細胞白血病の治療

効果の高い治療法は現在のところありません。

 

慢性リンパ性白血病

慢性リンパ性白血病の概念

単クローン性に増殖したCD5陽性のBリンパ球がいろいろなところに蓄積することで生じる腫瘍性疾患です。慢性リンパ性白血病は、全白血病の3%と日本ではまれな疾患です。50歳以上の中高年に多く、男性に多いです。

 

慢性リンパ性白血病の成因

染色体の異常などが考えられているが、詳しいことはわかっておらず、原因は不明です。

 

慢性リンパ性白血病の症状

発症はとてもゆっくりであるため、自覚症状はみられません。そのため多くの人は健康診断や他の病気の検査などで発見されることが多いです。症状として多いのは、全身倦怠感や脾腫、リンパ節腫大、発熱などがあります。

 

慢性リンパ性白血病の治療

アルキル化薬の内服が中心でしたが、近年、プリンアナログ(フルダラビンなど)や分子標的療法の有効性が確立されてきています。

 

 

このページで確認しておくことのまとめ

  • 白血病の分類について
  • 急性前骨髄球性白血病について
  • 慢性骨髄性白血病について
  • 成人T細胞白血病について

 

以上、白血病の病態生理についての説明でした。

 

少しでも役立つ情報であったならうれしいです。

 

以下に、血液系に関する疾患についての関連ページがありますので、気になる点は確認しておきましょう!

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