【薬学がわかる】コロイド分散系~チンダル現象、ブラウン運動

コロイド分散系とは?~わかりやすく解説していきます!

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~コロイド分散系とは~ 定義を確認しよう!

コロイド分散系とは、直径1~100nm 程度の大きさの微粒子が溶媒中に分散した系のことを言います。一般的に分散するコロイド粒子は、正または負の電荷を持っています。

 

~コロイドの分類~ 疎水コロイドと親水コロイドの違いについて

①疎水コロイドとは・・・
水和層を持たない疎水性粒子が※¹分散相であるものを言います。
例として、金や銀などの溶液があります。この溶液では、コロイド粒子と分散媒との相互作用が弱く、粒子の周りには溶媒層がほとんど存在していないことが特徴です。
     疎水コロイド  
イメージ図(上記):水和層がなく、一般的に親水コロイドより不安定であるという特徴があります。

関連ページ

※¹分散相についてはこのページで復習しましょう
【薬学がわかる】分散系とは?分子分散系、コロイド分散系、粗大分散系について

 

②親水コロイド
分散相の表面が親水性で水和層をもつものを言います。
例として、ゼラチンなどがの溶液があります。この溶液では、コロイド粒子と分散媒との相互作用が強く、粒子の周りに水和層が形成され、安定化されています。
     親水コロイド
イメージ図(上記):水和層を持っているので、一般的に疎水コロイドよりも安定であるという特徴があります。

 

 

分子コロイド
デンプンやタンパク質(アルブミン、ゼラチンなど)のように、1つの分子が大きいもの(高分子化合物)を言います。

 

 

会合コロイド
会合することで、コロイドに分類される大きさになるものを言います。
例として、界面活性剤の会合体であるミセルがあります。

 

関連ページ

ミセルについてはこちらのページで詳しく説明しています。
【薬学がわかる】臨界ミセル濃度とは?~クラフト点、曇点について

 

参考)保護コロイド作用
疎水コロイドに親水コロイドを加えると、疎水コロイドの表面に親水コロイドが吸着し安定化することがあります。この作用のことを保護コロイド作用と言います。

 

 

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~コロイド溶液の特徴について~ チンダル現象とブラウン運動を理解しよう

①限外顕微鏡とチンダル現象の関係

限外顕微鏡は、コロイド粒子のチンダル現象を利用しています。このチンダル現象を利用することによって、コロイド粒子の動きや粒子数を測定することができます。

 

チンダル現象とは、コロイド溶液に光をあてた時に光が散乱し、光の通路がビーム状に観察される現象です。この現象はコロイド溶液で観測されますが、低分子物質溶液などでは光が散乱しないため観測することは出来ません。

 

下記の図を参考にしてイメージをつけておきましょう。
チンダル現象

 

 

②コロイド粒子の運動 ~ブラウン運動~

コロイド粒子は分散媒分子からの衝突を受けて、不規則な運動をしています。この運動をブラウン運動と言います。
ブラウン運動
この運動は、コロイド粒子の周りにある分散媒分子がコロイド粒子に様々な方向から衝突することよって起きるため、粒子に働く力の方向や大きさはその都度変化します。その結果、粒子は一定方向ではなくジグザグに運動することになります。コロイド粒子は、ブラウン運動をしているため、Stokes式が適応できない点には注意しておきましょう。

 

コロイド粒子同士が衝突することによって、ブラウン運動が起きていると勘違いしている人が多いので注意しましょう。

 

Stokes式についてはこちらのページで復習しましょう

 

~コロイド粒子の電気的特徴~電気二重層(固定層と拡散層)について理解しよう

コロイド粒子は、その表面にイオンが吸着したりすることで、荷電しています。そのため、粒子の周りには反対符号のイオンが引き寄せられ、固定相を形成します。さらに、その外側には、イオンが自由に運動している層があり、この層を拡散層と言います。(下記の図を参考にイメージしましょう)

 

このような電気的特徴があるため、コロイド粒子同士が近づいても静電的な反発力が生じ、コロイド粒子は凝集することなく分散した状態でいることができます。

 

この溶液中に分散している粒子が、いつまでも沈殿しない場合、コロイド粒子は安定していると考えます。
コロイド粒子間には、ファンデルワールス力と静電反発力が働いており、この2つの力によって疎水コロイドの安定性は決まっています。
電気二重層

 

このようなコロイド粒子の性質を理解することで、次に説明する凝析現象がどのように行われているのか理解しやすくなりますので、しっかり確認しておきましょう!

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~コロイド溶液の安定性について~ 凝析と塩析を理解しよう

コロイド粒子の表面にはイオンが吸着することで荷電しており、その反発力があるため分散した状態でいます。しかし、電解質を加えることで、コロイド表面の電荷が中和され反発力を失います。そうすると、コロイド粒子同士が凝集するようになります。この現象を利用したものが凝析と塩析です。コロイド粒子には、疎水コロイドと親水コロイドがありますので、それぞれについて見ていきましょう。

 

①疎水コロイドの場合
少量の電解質を加えることで、コロイド粒子の表面電荷が中和され簡単に凝集します。この現象を凝析と言います。
これは、電解質を加えることで電荷が中和されることにより、静電反発力が減少します。その結果、ファンデルワールス力の影響が大きくなり、粒子が近づき凝集します。

 

②親水コロイドの場合
コロイドの表面に水和層をもっているので、疎水コロイドの場合と比べて多量の電解質を加えないと凝集しません。ただし、アルコール、アセトンなどの脱水剤を使用し、水和層を取り除くことで、少量の電解質でも凝集するようになります。この現象を塩析といいます。

 

ここで簡単にまとめておきます。
疎水コロイドの場合、少量の電解質添加で凝析します。
親水コロイドの場合、多量の電解質添加で塩析します。

 

参考)Hofmeister順列
塩析効果の強さを示しています。原子番号が小さいほど、塩析力は強いです。(考え方:原子番号が小さい方が、原子半径が小さいため、中心までの距離が短くイオンを引っ張る力が強い。)
陰イオン:有機酸⁻>Cl⁻>Br⁻>NO₃⁻>I⁻
陽イオン:Li⁺>Na⁺>K⁺>Rb⁺>Cs⁺
     Mg²⁺>Ca²⁺>Ba²⁺

 

~コアセルベーション~ 塩析の応用例について学ぼう!

反対電荷の親水コロイドや有機溶媒を混合することで、コロイドに富む相と乏しい相に分離することをコアセルベーショ
ンと言います。この現象はマイクロカプセルの調整に用いられています。

 

下記の図の例では、親水コロイドにアルコールなどを添加し塩析を起こします。そうすると、コロイドに富む層と乏しい層の2つに分離します。ここに薬剤などを含めておくことでマイクロカプセルの調整に応用しています。

 

コアセルベーション

 

DLVO理論

粒子間にはファンデルワールス力と静電的な反発力が働いています。コロイドの安定性は、この粒子間のファンデルワールス力と静電反発力の総和で決まります。この関係性を説明しているのがDLVO理論です。

 

〈異なる添加塩濃度におけるコロイド粒子間相互作用のポテンシャルエネルギーと粒子間距離との関係〉
DLVO理論
図の見方について説明していきます。
VAのファンデルワールス力については引力として働いています。粒子間距離が近い場合(左側が粒子間距離0)は、VA
が大きく働くことが示されています。
一方、VRでは塩の添加量を増やしていくと、静電相互作用ポテンシャルエネルギーは、VR₁、VR₂、VR₃の順に小さくなります。VtはVAとVRの和となっているので、VRの変化に伴って全ポテンシャルエネルギーは、VT₁、VT₂、VT₃と変化していきます。

 

VT₁の場合は、ずっと反発力の方が大きく働いているため、凝集することなく安定な状態です。
VT₂の場合は、引力が働き凝集が起きる状態ですが、緩やかな凝集であるため、振り混ぜることで再分散します。
VT₃の場合は、ファンデルワールス力が大きく、強く凝集が起こります。

 

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