【薬学がわかる】臨界ミセル濃度とは?~クラフト点、曇点について

界面活性剤や臨界ミセル濃度って何?~その過程について詳しく解説していきます。

 このエントリーをはてなブックマークに追加 

界面活性剤の分類について

界面活性剤は、分子内に親水基と親油基を持っています。気相-液相、液相-液相の界面に吸着して、界面張力を低下させます。

 

Sponsored Link

 

大きく分けてイオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤の2つがあります。

イオン性界面活性剤

①陰イオン性界面活性剤
分子中の活性部分が負電荷を持っており、陰イオンとなるものを言います。例えば、生体中では、胆汁酸が体内で消化吸収に関わっている陰イオン性界面活性剤です。
例)石鹸、ラウリル硫酸ナトリウム(ドデシル硫酸ナトリウム)

 

②陽イオン性界面活性剤
分子中の活性部分が正電荷を持っており、陽イオンとなるものを言います。
例)ベンザルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物
参考)ベンザルコニウム塩化物やベンゼトニウム塩化物は殺菌作用を有しており、殺菌消毒剤や点眼剤などの保存剤としても用いられます。

 

③両性界面活性剤
同一分子中に、陰イオン、陽イオンの活性部分を含むものを言います。
例)レシチン

 

非イオン性界面活性剤

一般的に粘膜刺激性が低いため、軟膏剤などに利用されることが多いです。
例)ラウロマクロゴール、Span類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween類)

 

 

臨界ミセル濃度(c.m.c : critical micelle concentration)

簡単に言うと、ミセル形成が始まる界面活性剤の濃度のことです。

 

水中において、界面活性剤のミセル形成は疎水性相互作用が関係していることがポイントとなります。ミセルは、界面活性剤分子が50~150個程度会合することで形成されており、この粒子の大きさはコロイド次元の大きさに相当します。

 

関連ページ

コロイド分散系についてはこちらのページで詳しく説明しています。
【薬学がわかる】コロイド分散系

 

ミセルの形成過程
(参考)
①の過程において、界面活性剤は親油基と親水基を持っているため、親油基は水から逃れようと界面に分布していきます。
②その後、水面が界面活性剤でいっぱいなり、分布出来なくなると水中へと分布していくようになります。
③水中では、親油基どうし、親水基どうしがくっつき、ミセルを形成していきます。

 

(+α)
界面活性剤の炭素数が増加すると、親油基の部分が大きくなるため、そのままでは水中での安定性が悪くなります。そのため、早くミセルになった方が水中で安定して存在することができます。つまり、ミセル形成が始まる界面活性剤の濃度(c.m.c)も低くなります。

 

 

界面活性剤溶液の性質と濃度との関係
可溶化力
c.m.c付近で大きく上昇します。これはc.m.cを超えるとミセルが形成され、水に難溶性の物質がミセル内に取り込まれ、見かけ上溶解したように見えるためです。

 

浸透圧
単量体の濃度に依存しており、c.m.c以上になると単量体(モノマー)濃度はほぼ一定になるため、浸透圧はc.m.c以上でほとんど変化しません。

 

当量電気伝導度
c.m.c以降で急激に低下し始めます。理由としては、c.m.cまでは単量体(モノマー)によって電気伝導が行われます。しかし、c.m.c以上ではミセルが形成され、このミセルは表面の電気密度が大きく、対イオンを強く引き付けます。そのため、電気を運ぶ能力は単量体(モノマー)と比べ、格段に落ちます。

 

Sponsored Link
Sponsored Link

Sponsored Link

 

クラフト点

イオン性界面活性剤の温度を上げていくと、ミセルが形成され、溶解度が急激に増加し始める温度があります。この時の温度をクラフト点と言い、各イオン性界面活性剤に固有の値です。

 

また、界面活性剤の疎水基にあたる炭素数が増加することで、c.m.cは低下し、クラフト点は高くなります。

 

クラフト点
上記の図を見ながら、考えていきましょう。
上の図では、モノマーが8個溶解すると、ミセルが形成されると仮定しています。(c.m.c濃度がミセル8個分としている)
クラフト点以下の温度では、界面活性剤が十分に溶解せず、ミセルは形成されない状態です。しかし、界面活性剤(モノマー)が8個溶解し、臨界ミセル濃度(c.m.c)以上になると、ミセルが形成され始めます。つまり、8個以上モノマーが溶解できる温度(クラフト点)になると、ミセルが形成されていき、溶解度が急激に上昇します。

 

イメージしてみると、さらにわかりやすくなると思います。
例えば、氷水とお湯で油汚れの洗濯をするところを想像してみましょう。お湯で洗った方が、油汚れが落ちやすいといった経験がないでしょうか?これは、先ほど説明したクラフト点が影響していると考えられます。クラフト点以上の温度の時、ミセルが形成されることで、油汚れを効率的に落とすことができるのです。

 

曇点

非イオン性界面活性剤の温度を上げていくと、水に対する溶解度が急激に低下し、混濁・二層分離などを始める温度があります。この時の温度を曇点と言い、非イオン性界面活性剤に固有の値です。

 

これは温度が上昇するにつれて、熱運動が激しくなります。その結果、界面活性剤と水分子間で働く水素結合が切断されるために起こる現象です。

 

HLB(hydrophile-lipophile balance)

界面活性剤の親水基と親油基のバランスを示す値として用いられます。
一般的に以下のように判断します。

 

HLB>7の場合:親水性が強い

 

HLB<7の場合:新油基が強い
混合物のHLB

Sponsored Link
Sponsored Link

Sponsored Link

関連ページ一覧

界面とは、2種以上の相(気相、液相、固相)が共存する時に、こ...

界面活性剤の分類について界面活性剤は、分子内に親水基と親油基...

 このエントリーをはてなブックマークに追加 
Sponsored Link
Sponsored Link

Sponsored Link