【薬学がわかる】溶解現象と溶解速度(Nernst-Noyes-Whitney(ネルンスト-ノイエス-ホイットニー)の式)

溶解現象と溶解速度(Nernst-Noyes-Whitney(ネルンスト-ノイエス-ホイットニー)の式)について

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固形の薬物(錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤など)を服用後、その薬効を発揮するためには、まず固体が溶解して吸収される必要があります。そのため、固体薬物の溶解速度やそれに影響を及ぼす因子について把握することは、固体薬物の溶解性やバイオアベイラビリティーの向上をはかる上で重要と考えられます。

 

ポイント
・固型薬物は 溶解→吸収 の過程をたどる
・溶解速度やそれに影響する因子を把握する

 

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まず初めに、物質の溶解現象について見ていきます。

 

溶解現象の過程

溶解現象
溶解現象をまとめると上の図のようになります。

 

①の界面反応過程は、固体が液体に解けていく過程のことです。
②の拡散過程は、溶けた個体が液体の中で、均一な濃度になるまでの過程のことです。

 

このように、溶解現象には2つの過程があることを理解しましょう。

 

溶解現象の濃度変化

溶解現象の濃度変化
固体の溶解現象の濃度変化を詳しく見ていくと、上の図のようになります。

 

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Nernst-Noyes-Whitney(ネルンスト-ノイエス-ホイットニー)の式

固体薬物の溶解が拡散律速で進行する時、また拡散層内の拡散がFickの法則に従うとして以下の式が導かれました。
ネルンストの式

溶解速度の測定方法

溶解速度の測定法として、回転円盤法があります。回転円盤法では、薬物を圧縮して一方向のみ溶液と接するように周りを覆います。そうすることで、溶解が進行しても固体の表面積Sを一定に保つことができます。
回転円盤法
上記のグラフを見てください。

 

右上のグラフで、時間の経過と共に濃度勾配が減少していくことがわかります(傾きがだんだん平行になっている)。
固体の溶解速度は、はじめが最も大きく、だんだん小さくなり、最終的に0となっていきます。

 

また、シンク条件(C <CsまたはC≒0)の時、Noyes-Whitneyの式は図のように近似されます。

 

溶解速度を増大させる方法

粒子径を小さくする、表面積(S)を大きくする

 

温度を上げる、溶媒の粘度を小さくすることで拡散定数(D)を大きくする

 

攪拌することで、拡散層の厚さ(δ)を小さくする

 

④無晶形、多形(準安定形)、無水物、プロドラックなどへの変換を行うことで、溶解度(Cs)を大きくする

 

⑤界面活性剤の添加など(界面活性剤の集合体であるミセルへ難溶解性薬物を取り込み、可溶化させる)
 
参考)界面活性剤の例
生体内において、胆汁酸が界面活性作用を示します。胆汁によってコレステロールの可溶化を行い、グリセオフルビンなど、水に対して難溶性の薬物の溶解を促進させ吸収を増大させることができます。

 

溶解過程における濃度変化と時間の関係

Noyes-Whitney(ノイエス-ホイットニー)の式より、以下の時間と濃度の関係式をを導くことができます。

 

ln (Cs-C) = -kSt + (Cs-C₀)

 

k:みかけの溶解速度定数
S:固体の表面積
t:時間

 

この式より、ln (Cs-C) を時間tに対してプロットすると直線が得られ、その傾きよりみかけの溶解速度定数kを求めることができます。
溶液濃度変化と時間の関係
上の図では、撹拌した時のグラフの傾きの変化について示しています。
撹拌することによって、拡散層の厚さδが小さくなります。その結果、見かけの溶解速度定数kは大きくなります。kが大きくなるため、グラフの傾きも大きくなります。

 

Hixson-Crowell(ヒクソン-クロウェル)の式

ヒクソン-クロウェルの式は、溶解していく過程で、固体の表面積や質量が減少することを考慮しています。
(Noyes-Whitneyの式では、固体薬物の表面積を一定として導いていました。)

 

 

全ての粒子径が同じ大きさの溶解過程では、粒子が球形を保ちながら溶解し、さらにシンク条件が成り立っているものと仮定すると、以下のようにヒクソン-クロウェルの立方根法則が成立します。
ヒクソン-クロウェルの式

 

W₀:固体粒子のはじめの質量
W:時間tにおける固体粒子の質量
k:見かけの溶解速度定数

 

溶解度とpHの関係について

弱電解質の水への溶解について、その溶解度(溶ける最大濃度)は、以下のような式で表すことができます。

 

全体の溶解度[Cs]=分子形の溶解度[Cs分]+イオン形の溶解度[Csイ]

 

この式で注目しておくことは、以下の2点です。
①分子形の溶解度[Cs分]:pHの影響を受けず一定
②イオン形の溶解度[Csイ]:pHの影響を受けて変化

 

pHによるイオン形と分子形の割合は、Henderson-Hasselbalchの式を用いて算出することができます。
溶解度とpH
①最初に分子形[Cs分]が、4個溶けていたとします。
②pHが上昇していき、pH = pKaとなった時、分子形[Cs分]4個とイオン形[Csイ]4個が溶けている状態となります。
Henderson-Hasselbalchの式より、pH = pKaとなる時は、logイオン形 / 分子形=0となる時、つまり、log1となる時です。
→イオン形 / 分子形 = 1となる時なので、今回の場合はイオン形4個 / 分子形4個となっている状態です。
③さらにpHが上昇していくと、イオン形の溶解度が増加していきます。

 

 

弱塩基性薬物においては、この場合の逆になります。つまり、pHが低下するとともに、イオン形の溶解度Csイが増加し、全体の溶解度Csが増加します。

 

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