薬物側の消化管吸収に及ぼす要因

薬物側の消化管吸収に及ぼす要因

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脂溶性(親油性)
薬物の脂溶性が大きいほど吸収されやすい(小腸の細胞膜を通過する際に、脂溶性の方が通過しやすいため)。

 

脂溶性を判断するものとして、分配係数というものがあります。
 
分配係数(PC)
PC=油相中の薬物濃度 / 水相中の薬物濃度

 

関係性としては、PC大 ⇒ 脂溶性大 と判断できる

 

②解離度

分子型の薬物の方が、イオン型の薬物よりも吸収されやすい。

 

Henderson-Hasselbalchの式
弱酸性や弱塩基性薬物のpKaと、溶液のpHとの間にはHenderson-Hasselbalchの式が成立します。

 

弱酸性薬物の場合
log [A-] / [HA] = pH - pKa

 

弱塩基性薬物
log[BH+] / [B] = pKa - pH

 

[A-]   : 弱酸性薬物のイオン型
[HA]    : 弱酸性薬物の分子型
[BH+] : 弱塩基性薬物のイオン型
[B]      : 弱塩基性薬物の分子型

 

③pH分配仮説

弱酸性または弱塩基性薬物は、吸収部位に分子型で存在する割合が多いほど、または分子型薬物の脂溶性が大きいほど吸収されやすい

 

④分子量

薬物の分子量が増大すると吸収率は低下します。そのため、分子量の大きいイヌリン、ヘパリン、デキストランなどは消化管から吸収されません。

 

⑤溶解速度

溶解速度の速い薬物は吸収されやすい。

 

⑥薬物の溶解速度

固体薬物の溶解速度は、一般にNoyes-Whitney式によって表されます。

 

dC / dt = D・S/h・(Cs - C)

 

D : 薬物の拡散定数
S : 固型薬物の有効表面積
h : 拡散層の厚さ
Cs : 薬物の溶解度
C : 時間 t における溶液中薬物濃度

 

参考)溶解速度に影響する因子

①粒子径
薬物の粒子径が小さいほど表面積が増大し、吸収が増加します。

 

②塩の違い
薬物を塩の形で投与すると、溶解性が増大します。

 

③結晶多形
薬物の溶解性、吸収性  
準安定系 > 安定系

 

④無晶形
薬物の溶解性、吸収性  
無晶形 > 結晶形

 

⑤溶媒和物
薬物の溶解性、吸収性  
有機溶媒和物 > 無水物 > 水和物

 

⑦消化管内での安定性

消化管内の酵素などにより分解する薬物は、吸収が低下します。
例)サリチルアミド

 

⑧食事や添加物

食事などの摂取により胃内容排出速度が遅くなり、薬物の消化管吸収が変動します。

 

⑨界面活性剤の作用

低濃度で作用させると表面張力が低下し、薬物の表面が濡れやすくなるので、溶解性が上昇し、吸収が増加します。

 

脂質の可溶化作用があるので、小腸上皮細胞の表面粘膜層の脂質が可溶化され、薬物の透過性が上昇します。

 

臨海ミセル濃度(cmc)以上では、ミセルを形成して、ミセル内に脂溶性薬物を取り込む作用があります。この時、ミセル全体としては、親水基を外側に出して存在しているので、水溶性物質としての性質を持っており、ミセル自体の吸収はきわめて悪いです。そのため、薬物の吸収は減少することになります。

 

参考例)
吸収の悪い水溶性薬物(フェノールレッド、スルファグアニジンなど)は、界面活性剤の膜の可溶性作用により吸収が増大しますが、脂溶性薬物(スルファジメトキシン、イミプラミンなど)の場合は、ミセルに取り込まれやすいため、吸収が低下してしまします。

 

⑩複合体形成

包接化合物(シクロデキストリン)
薬物の安定性、溶解性、吸収性を改善します。

 

キレート形成
テトラサイクリンは、牛乳中のカルシウムイオンとキレートを形成しますので、吸収は低下します。

 

ニューキノロン系の抗生物質は、アルミニウム、マグネシウムを含有する制酸剤との併用で難溶性のキレートを形成し、吸収が低下します。

 

このページで確認しておくことのまとめ

  • 脂溶性を判断できる係数は?
  • 解離度は何の式を用いる?
  • 溶解速度に影響する因子について確認する
  • 複合体形成における影響は?
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