【薬学がわかる】単純拡散(受動輸送)について

単純拡散(受動輸送)

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膜の両側に物質の濃度差があるとき、その濃度勾配に従って物質が移動する現象のことを言います。濃度勾配に従っているだけなので、単純拡散(受動輸送)ではエネルギーを必要としません

 

薬物の脂溶性によって透過率が変わってきます。また、単純拡散機構で輸送される薬物の透過速度は、一般にFickの法則に従います。

 

dC/dt = k・A・(Ch-Cl)/L
dC/dt : 薬物の透過速度
k:透過定数
A:膜の面積
Ch:高濃度側の物質の濃度
Cl:低濃度側の物質の濃度
L :膜の厚さ
単純拡散

単純拡散の特徴

①薬物の透過速度が濃度勾配に比例する。
→濃度勾配(Ch-Cl)/Lに比例する。
→透過速度は膜の厚さhに反比例する
→透過定数kに比例する
エネルギー(ATP)の消費がない。
輸送担体を必要としない。
④薬物間に相互作用がない場合、いくつかの薬物が共存しても、それぞれ単独で投与した場合と同じ透過率を示す。(担体を取り合わないため)
⑤薬物の膜透過性の指標に、pH分配仮説が適用できる。

 

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pH分配仮説

薬物が生体膜を透過する時に、分子形薬物は脂溶性が高いため脂質二重膜を通過できるが、イオン形薬物は水溶性が高いため脂質二重膜を透過出来ないという考え方があります。

 

多くの医薬品は、弱酸性・弱塩基性の物質であるため、環境のpHによって分子形(非解離型)とイオン形(解離型)の割合が変化します。そのため、薬物の吸収部位におけるpHを把握し、分子形分率を考えることは非常に重要となります。

 

分子形とイオン形の比は、Henderson-Hasselbalch(ヘンダーソンハッセルバルヒ)の式で計算することができます。
ヘンダーソンハッセルバルヒ
考え方)
弱酸性薬物の場合、pKaが大きい薬物ほどpH7付近の分子形の割合が大きいことがわかります。つまり、分子形の存在比が大きくなり吸収率も大きくなります。

 

弱塩基性薬物の場合、pKaが小さい薬物ほどpH7付近の分子形の割合が大きいことがわかります。

 

このように、薬剤が酸性・塩基性なのかの違いによっても、吸収に関する考え方が変わってきます。

 

以上より、吸収に関しては薬剤の分子形分率を考えることが非常に大切であることがわかります。

 

参考1)油/水分配係数

薬物の吸収を考える際は、薬物の脂溶性を考えることも大切となります。

 

単純拡散による吸収の場合、脂溶性が高い薬物ほど吸収が良いと考えることができます(細胞膜が脂質膜であるため、脂溶性が高い方が膜透過率が良くなる)。その脂溶性の指標として用いられるのが、油/水分配係数です。

 

つまり、油/水分配係数が大きい薬物であるほど、その吸収性が高いと判断することができます。

 

参考2)細孔からの侵入

生体膜に存在する水で満たされた細孔を介して、薬物が透過する現象です。この場合は薬物の分子量が重要になってきます。

 

Solvent drag : 細孔中に水の流れがあり、その流れに従って薬物が輸送される現象です。

 

このページで確認しておくことのまとめ

  • Fickの法則
  • 単純拡散の特徴(濃度勾配に比例するのか、担体は必要なのかなど)

 

関連ページ

特殊輸送(促進拡散・能動輸送・膜動輸送)についてはこちらのページで詳しく説明しています。
特殊輸送(促進拡散・能動輸送・膜動輸送)

 

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