水の塩素処理の原理と問題点

水の塩素処理の原理と問題点

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これまでを復習すると、沈殿によって大きなごみを、ろ過によって小さなごみを取り除いてきました。次の工程では塩素を用いて殺菌を行っていきます。
残留塩素

①遊離残留塩素

水中の細菌を塩素ガスや次亜塩素酸塩を用いて殺菌します。
水に塩素を加えると、次亜塩素酸(HClO)を生じます。この次亜塩素酸が一番殺菌的に働きます。
また、pHを上げていくと、PH10くらいで次亜塩素酸から次亜塩素酸イオンが生成されます。これにも殺菌作用があります。この次亜塩素酸と次亜塩素酸イオンを合わせて遊離残留塩素といいます。

 

 

②結合残留塩素

水中に尿の成分であるアンモニアなどのアミン類が存在していると、塩素(HClO)を加えたときにクロラミンが生成されます。これを結合残留塩素といいます。
ここに、さらに塩素(HClO)を加えると窒素(N2)として空気中に出ていきます(除去される)。
この結合残留塩素は安定性は高いですが、遊離残留塩素よりも殺菌力は弱いです。
※殺菌力は酸化力に基づきます。

 

 

③塩素要求量と塩素消費量

用語説明
 塩素要求量:初めて遊離残留塩素が増加するまでに必要な塩素注入量
 塩素消費量:初めて残留塩素(遊離型or 結合型)が増加するまでに必要な塩素注入量

 

水道水として安全に飲めるようにするため、水中にいる大腸菌などの菌を殺菌する必要があります。
そこで、塩素を入れていくわけですが、水中に含まれている物質によって塩素を入れた時の残留塩素のパターンが大きく3つのパターンに分かれます。

 

Ⅰ型:きれいな水(塩素を消費する物質を含まない)

塩素を入れた量に比例して、残留塩素(遊離型)は直線的に増加していきます。つまり塩素を入れただけ殺菌していきます。
塩素注入量

Ⅱ型:還元性物質(NO2-、Fe2+など)が含まれている水

塩素注入量2
塩素を入れて殺菌していきたいのですが、その前にそれを邪魔する物質があります。それが還元性物質です。

 

ここで復習ですが、塩素はどのようにして菌を殺菌するのだったでしょうか?

 

答えは酸化力です。つまり還元性物質が存在している間、塩素は還元性物質を酸化する反応が起こるため、塩素を入れても残留塩素は増加しません。しかし、還元性物質が全て反応し終わった後は、塩素を入れた量に比例して残留塩素(遊離型)が増加していきます。

 

 

※還元性(被酸化性)物質とは
例として、加害者とは害を与える人、被害者とは害を受ける人のことを言います。
つまり還元性(被酸化性)物質とは自身が酸化されるもののことを言います。

 

 

ここで少し考えてみましょう。NO2-とNO3-のどちらが還元性物質でしょうか?
NO2- → NO3-となるとき、NO2-が1つ酸素を受け取って(酸化されて)NO3-になります。つまり、NO2-が還元性物質です。

 

 

Fe2+とFe3+ではどうでしょうか?
Fe2+ → Fe3+となるとき、Fe2+が電子(e-)を1つ失って(酸化されて)、Fe3+になります。つまりFe2+が還元性物質です。

 

Ⅲ型:アンモニアなどのアミン類が含まれている水

塩素注入量3
塩素を入れたことによって残留塩素(主にクロラミン:結合型)が増加していきます。さらに塩素を加え続けるとクロラミンは窒素(N2)に変換されて空気中に出ていきます(除去される)。そのため、一度残留塩素(結合型)が減少します。この残留塩素(結合型)が減少し終わった点を不連続点といいます。
その後、また塩素を加えていくと、もうアミン類はいないため、残留塩素(遊離型)が増加していきます。

 

ここで注目しておくべきことは、不連続点以前の残留塩素は結合型、それ以降は遊離型であるということです。

 

Ⅳ型:還元性物質(NO2-、Fe2+など)が含まれている水 + アンモニアなどのアミン類が含まれている水 

この場合もありますが、②と③を合わせて考えればいいだけです。

 

このページで確認しておくことのまとめ

  • 遊離残留塩素
  • 結合残留塩素
  • 塩素要求量と塩素消費量
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