【薬学がわかる】発癌性物質などの代謝的活性化の機構

発癌性物質などの代謝的活性化の機構

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発癌物質の種類

まずは、以下の2種類があることを確認していきましょう。

 

① 一次発癌物質(直接発癌物質)
それ自体が直接核酸を修飾して癌を誘発させるもの

 

②二次発癌物質
代謝を受けて活性代謝物となり、癌を誘発させるもの

 

次に、二次発癌物質について詳しく見ていきましょう。

 

二次発癌物質の分類

二次発癌物質として、以下の三つについて見ていきます。
①エポキシドを発癌本態とするもの
②ヒドロキシルアミンのエステル(ニトレニウムイオン)を発癌本態とするもの
③アルキルジアゾヒドロキシド(CH3+ : メチルカチオン)を発癌本態とするもの

 

それぞれに特徴がありますので、しっかり確認してください。

 

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①エポキシドを発癌本態とするもの

炭素間に二重結合を持つオレフィンや芳香族化合物は、シトクロムP450によるエポキシ化でエポキシドが生成します。これが、核酸塩基を修飾して、癌を誘発します。

 

ここで重要になってくるのがエポキシドヒドロラーゼです。エポキシドヒドロラーゼは、一般的には多くのエポキシドの解毒に関与します。しかし、例外がありベンゾ〔a〕ピレンの場合は代謝的活性化に関与します。つまり本来の役割とは逆に、発癌性のある物質の生成に関与します。

 

以下の図を見ながら確認していきましょう。
ベンゾピレン

 

ここでのポイントを確認しよう

P450によるエポキシ化とエポキシドヒドロラーゼが代謝活性化に関わっている。

 

代表的な化学物質
ベンゾ〔a〕ピレン、アフラトキシン、塩化ビニル、スチレン、トリクロロエチレン、ベンゼンなど

 

②ヒドロキシルアミンのエステル(ニトレニウムイオン)を発癌本態とするもの

芳香族アミン類は、シトクロムP450によってN-水酸化反応を受け、ヒドロキシルアミンになります。これがさらにアセチル化(O-アシル化)または硫酸抱合によって活性化エステルとなります。さらにこの活性エステルから、ニトレニウムイオンやカルボニウムイオンが生成し、これがDNAを修飾して癌を誘発します。
ヒドロキシルアミン

 

ここでのポイントを確認しよう

P450によってN-水酸化反応を受けている。その後、硫酸抱合、アセチル化(O-アシル化)を受け、発がんに関与している。

 

代表的な化学物質
2-ナフチルアミン、2-アミノフルオレン、ヘテロサイクリックアミン(Trp-P-1など)

 

③アルキルジアゾヒドロキシド(CH3+ : メチルカチオン)を発癌本態とするもの

ここでは、以下の2つが重要です。
①サイカシン(ソテツの実)
②ジメチルニトロソアミン

 

①ソテツに含まれるサイカシンを経口摂取すると、腸内細菌が持つβ-グルコシダーゼによって加水分解され、メチルアゾキシメタノールが生成されます。これは吸収された後、非酵素的に分解され、反応性の高いメチルジアゾヒドロキシドとなります。その後さらにメチルカチオン(メチルカルボニウムイオン)が生成されることで、DNAを修飾し、癌を誘発します。

 

N-ニトロソ化合物ジメチルニトロソアミン(N-ニトロソジメチルアミン)は、シトクロムP450(脱アルキル化)によって代謝されメチルジアゾヒドロキシドを生成します。さらにここからメチルカチオン(カルボニウムイオン)が生成されることで、DNAを修飾し、癌を誘発します。
メチルカチオン

 

ここでのポイントを確認しよう

サイカシンはβ-グルコシダーゼ、ジメチルニトロソアミンはシトクロムP450(脱アルキル化)によって、発がんに関与している。

 

代表的な化学物質
サイカシン、N-ニトロソ化合物(ジメチルニトロソアミンなど)

 

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